Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『花束を彼女(の為)(探しに行ったアークライトが遭難した苦難と困難の7日間の全て)』




1日目

シルバニア王国
王都シルバニア

「白亜の王都、シルバニア」
夜、町の街灯に灯される魔導の明かりが白き町に映えるその光景は、訪れた旅人達を魅了してやまないという。
実際、それがきっかけでこの町に移り住んだ者達も沢山いる。

「白亜の王都、シルバニア」
この町の人々は自分たちの住む此の町のことをそう呼んでいるが、他の都市の人々からはこう呼ばれている。
「幻惑の都、シルバニア」と。

アーク 「……うん?
 ねぇ、ジュリアさん。
 向こうから歩いてくるのはひょっとして……。」

ユリア 「あらぁ、レナードちゃん☆」

レナード 「ん?
 誰かと思えばアークにユリアか。
 ……どうしたユリア、そんなに目を輝かせて?」

ユリア 「ねぇねぇ、レナードちゃん、聞いて聞いて。
 さっきね、男女のカップルが公園で逢い引きしてたんだけど、
 それが面白いの。何が面白いってね……。」


五分経過。


ユリア 「……ですって。
 後ろから抱きしめて耳元で『君は僕の可愛い恋人だよ』ですって☆
 きゃあ☆もう、破廉恥ねぇ☆」

アーク 「あの男性より女性の方がかなり年下でしたねぇ。」

ユリア 「……アーク、あたしがアークより年上なのはダメ?」

アーク 「いえ。
 別にそういうわけじゃないですよ。
 ……ジュリアさん?」

ユリア 「どうせあたしはアークより2つも年上よ。……くすん。」

アーク 「別に他意はないですよ。
 ジュリアさん、
 僕は貴方が年上でも一向に構いませんよ。」

ユリア 「……そうよね。
 アークってば今まで一度も私に花とかくれたことないものね。
 くすん。」

アーク 「じゃあ今度ジュリアさんの好きな花をあげますから。」

ユリア 「今度じゃだめっ!いますぐ取ってきてっ!
 エーデルワイスの花じゃなきゃダメよっ!
 ……くすん。」

レナード (また始まったか……ユリアの無理難題押しつけが。
 大体エーデルワイスの花など、この辺りには咲いていないぞ。
 北方の山岳地帯に咲いているという話は聞いたことあるが……。)

アーク 「わかりました。じゃあ取ってきますね。」

レナード 「お、おい、アークライト!?そっちは窓だ……いや、そうじゃない。
 まさかお前、今から北方に行く気か!?仕事はどうするんだっ!?
 おいっ!だからそっちは窓だと言っているだろうがっ!」


▽……。



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