『花束を彼女(の為)に(探しに行ったアークライトが遭難した苦難と困難の7日間の全て)』
3日目 エルメキア礼法国 法都エルメキア 礼と法を重んじる国、エルメキア礼法国。 国々の中で最も規律の厳しい国であり、そして同時に最も犯罪発生率の少ない国でもある。 余談になるが、現在大陸で用いられている魔導金属の原材料の大半はこの国で産出されている。 |
「おい、君、こんなところで何やってる?」
「あ、丁度いいところに人がいた。
ちょっと聞きたいんだけどさ、あの大きな岩。
あれはなんだい?」
「あれか?あれは浮遊城メルフィザームの建設現場だ。知らないのか?」
「そうか。
……あれ?メルフィザーム?
ということはここはエルメキアなのかい?」
「?
もちろん。」
(何を言っているんだ、この男は?)
「いや、だから今、俺がそう言っただろうが。」
「うん。」
「…………法兵をおちょくっているのか?」
「ほーう。へーい。」
「……よーくわかった。ちょっと署まで来て貰おうか。」
「やだなぁ、軽い冗談じゃないか。
うん。
……そういえば君、誰?」
「俺はエルメキア法兵院法都警護署監査室長シモン=エーデルワイス。」
「指紋エーデルワイス?
……ジュリアさん、この人を連れて帰れってことなのかな?
よいしょっと。」
「お、おいっ!なにやってるっ!?」
「え?背負ってるとこ。」
「いや、だから何故俺を背負うんだ?」
「うん。ジュリアさんがエーデルワイス取ってこいって。」
「……確かに俺の姓はエーデルワイスだが、
もしかしてそれは
エーデルワイスという花のことではないのか?」
「うん。そうかもしれない。」
「……エーデルワイスの花が欲しければここからずっと北に行くんだな。
ケチュアの地に僅かながら生息するという話を……。
おいっ!北だ北っ!南じゃないっ!」
「あれ?そういえば地図って上が北だっけ、南だっけ?」
「……何を言っている。
この大陸は南半球にあるんだから上が南に決まって……。
っておいっ!だからどうして南に行くっ!北だ、北っ!」