『花束を彼女(の為)に(探しに行ったアークライトが遭難した苦難と困難の7日間の全て)』
7日目 シルバニア王国 王都シルバニア 「白亜の王都、シルバニア」。 夜、町の街灯に灯される魔導の明かりが白き町に映えるその光景は、訪れた旅人達を魅了してやまないという。 実際、それがきっかけでこの町に移り住んだ者達も沢山いる。 「白亜の王都、シルバニア」。 この町の人々は自分たちの住む此の町のことをそう呼んでいるが、他の都市の人々からはこう呼ばれている。 「幻惑の都、シルバニア」と。 |
「アークっ!?
一週間もどこに行ってたのよっ!
心配したじゃないっ!」
「はい、エーデルワイス。」
「え?……ひょっとしてアーク……本当に取ってきてくれたの?」
「あたり前じゃないですか。ジュリアさんの頼みなんですから。」
「……アーク。ごめんね、あんな事言って。
本当はあたし、アークを困らせたかっただけなの。
それなのに……。」
ふわっ
ぎゅっ
「アーク?
……そんな力一杯抱きしめないでよ。
恥ずかしいじゃない……。」
「ジュリアさんが僕より年上だろうと年下だろうと、
僕がジュリアさんの事を好きなのには変わりはありません。
貴方は、僕の可愛い恋人なんですから。」
「…………アーク。」
「いい雰囲気のところ、非常に悪いのだが少々よいかな?」
「あ、久しぶり。」
「柱の影から話は聞かせて貰ったから事情は分かった。
だが、一週間ものあいだ無断欠勤したことには変わりはない。
ボイス将軍がその事で怒っているぞ。」
「そうか。
じゃあこれから将軍の部屋に行こっかな。
そんじゃジュリアさん、また後で。」
「うん。今日はアークの家で料理作って上げるね☆
そうそう、料理って言えばレナードちゃん。
このあいだアリスちゃんにビーフシチュー作って貰ったって本当?」
「な、何を突然言い出す。
…………。
ただ『少し味見していただけます?』と言われ……。」
「んもぉ☆照れちゃって☆」
「……ユリア。それ以上言うならば……。」
「きゃー、怖い怖い☆
ってあら?
アーク、そのチラシ、何?」
「あ、これ?
確か道に迷ってカイザリア帝国の帝都アンヴェリアルサットに行った時に
貰ったんだ。」
「えーと、なになに?
『帝都アンヴェリアルサットに新しいクッキー屋オープンっ!
開店記念セールとしてこのチラシを持参した方には全品半額っ!』」
「ボイス将軍が聞いたら喜びそうな話だな。」
「そうだね。
どうせこれからボイス将軍の所に行かなくちゃいけないみたいだから
ついでに持っていこうかな。」
「そうね、きっと喜ぶわよぉ。」
……『花束を彼女に』本編に続く。
▽あとがき