『祖父を訪ねて三千里』
1日目 シルバニア王国 王都シルバニア 「白亜の王都、シルバニア」 夜、町の街灯に灯される魔導の明かりが白き町に映えるその光景は、訪れた旅人達を魅了してやまないという。 実際、それがきっかけでこの町に移り住んだ者達も沢山いる。 「白亜の王都、シルバニア」 この町の人々は自分たちの住む此の町のことをそう呼んでいるが、他の都市の人々からはこう呼ばれている。 「幻惑の都、シルバニア」と。 |
「え?僕のおじいちゃんがセントラル港で捕まってる?」
「あれ?家族のどなたかから聞いてません?」
「うん、全然聞いてない。」
「……どうやら不法入国の容疑で捕まっているそうですよ。」
「うん、不法入国者?なんで?」
「いえ、そこまでは私も……。
うちの妹が隣の酒場で聞いてきただけなので、
それ以上の詳しい話は分からないんですが……。」
「そうか、それは困ったな。
うん、とりあえず迎えに行かなきゃ。
ところでセントラル港にはどうやって行けばいいんだい?」
「……このシルバニアから南に伸びている街道がありますよね?
その街道を終点まで真っ直ぐに行けばセントラル港です。
いいですね、南ですからね? み・な・み。」
「うん、南ってこっち?」
「アークライト師団長、そっちは東です!
でなくてこっちの南の街道ですからね!
いいですね、東には行かないでくださいよ?」
「うん。わかった。東だね。ありがとう。」
「ってアークライト師団長っ! 東じゃなくて南っ!
南の街道を真っ直ぐですってばぁぁぁぁ!
ちょっと聞いてますっっっっ!?」