『エリーゼの為に』
シルバニア王国 王都シルバニア 「白亜の王都、シルバニア」 夜、町の街灯に灯される魔導の明かりが白き町に映えるその光景は、訪れた旅人達を魅了してやまないという。 実際、それがきっかけでこの町に移り住んだ者達も沢山いる。 「白亜の王都、シルバニア」 この町の人々は自分たちの住む此の町のことをそう呼んでいるが、他の都市の人々からはこう呼ばれている。 「幻惑の都、シルバニア」と。 |
「では本日の会議はこれで終了……と、一つ忘れていたな。」
「え?まだ何かあるの???」
「ああ。
我がシルバニア王国のかつての宗主国であるブランドブレイ王国、
そこのステラ港という港町を知っているな?」
「ラファエル王国統一時代からあるっていう伝説の港町だろ?」
「然り。その港町から開港千年記念式典の招待状が来てな、
我が国からは師団長を誰か派遣する事になった。
そこでだ、誰か行きたい者はいるか?」
「馬車で行ったとして、
式典の期間も含めると……
往復で10日以上は見た方がいいな……。」
「アシスト、行ってくれるか?」
「いや、ただ俺は日数を計算していただけで……」
「そーよねー、エリーゼちゃん置いて行くわけにはいかないしねぇ☆」
「ユ、ユリア師団長っ!!」
「……ふむ。なるほど。
ならばこうしよう。
アシスト、エリーゼ、二人で行って来い。」
「えっ!?」
「なにっ!?」
「それなら何も問題はあるまい。」
「ひゅーひゅー、婚前旅行ー☆」
「ユ、ユリア師団長っ!」
「アシスト、エリーゼ、頼んだぞ。
では本日の定例会議はこれにて終了。
各自解散。」
「ち、ちょっとまてよっ!おいっ!レナードっ!無視するなっ!」