『失われた7枚』if 〜ピーターパン編〜
「ねぇねぇ、パパ、ママ、ピーターパンって知ってる?」
「ん?ああ、ピーターパンがどうした?」
「あのね、あのね、あたし達ピーターパンに会ってきたの☆」
「ピーターパン……どんなパンなのかしら。」
「いや、そのパンじゃなくて。」
「でね、エリーゼちゃんがネバーランドの町内会長になったのー☆」
「ち、町内会長?」
「ユ、ユリア姉さんっ!」
「そうなのー、あのね……」
「きゃああっ!?」
「なんだっ!?家が揺れるっ!?」
「!?」
「……なんで海賊船の船首が家の中にあるんだ?」
「さっきまでは無かったわよ。」
「んんんっ、不時着大成功っ。」
「おいこらマルス副船長っ!
真っ正面から家の屋根に突っ込むなぁぁぁああっ!!!
着陸するならもっと平坦なところにしろっ!?」
「ちゃきーん。」
「いや、不時着してる時点で大成功じゃないだろ。」
「んんん、気にしない気にしない。」
「っていうか人ん家勝手に壊しといて
『気にしない気にしない』じゃなくてだな。
レナード、お前からも何か言ってやれよ。」
「……家を立て替えないといけないな、これは。」
「そういう何かじゃなくてだな。」
(『貴方、今度は一体どんな家にするの?』『ああ、今度は今よりも立派な
愛の巣を作らないとな。』『え?』『もちろん、今以上に君を愛する
ためにね、愛しいアリス……。』『あっ…………。』)
「ねー、ママまた何か妄想してるわよー?」
「それで、いつになったらこの船どかしてくれるのかしら?」
「うん、それが帰り道がわからなくなっちゃって。」
「ピーターパン!!!」
「んんん、というわけでしばらく泊めてちょ。」
「ちょっと待て、本気で言ってるのかっ!?」
「んんん、固いこと言いっこなし。」
「ちゃきーん。」
「はなまるぅ。」
「いや、はなまるぅじゃなくてだな。」
「……新築ついでに、
新しい家には子供部屋を2つ作るのもいいかもしれないな。」
「え?本当に?」
「2部屋ってことは……?」
「あたしが1部屋で、ウィルバーちゃんとエリーゼちゃんが二人で1部屋でしょ?」
「ち、ちょっと、なんでそうなるんですかっ!」
「えー、それは長女の特権だしー☆
それに二人で1つの部屋だと何か問題あるの?
わくわくどきどき。」
「そ、それは……」
「禁断の姉弟愛ってことで。な、エリーゼ?」
「な、じゃありませんっ!!!
蹴・りぃぃぃぃぃぃっ!!!」
「……きゅう。」