「……難事件だったな。」

「なにいってんのよっ！！！
　結局ちゃんと事件解明できていないじゃない！
　証拠も不十分なのよ？　濡れ衣かもしれないじゃない！」

「ああ。濡れ衣だ。それがどうかしたか？」

「濡れ衣ってことは、犯人が他にいるって前提の元で逮捕したのよね？
　……ちょっと待って。それだけじゃないわ。
　暗闇の中、盗まれたのよね？」

「ああ。恐らく犯人は暗闇に乗じてあらかじめ記憶してあった
　テーブルの位置を頼りに移動し、レミィのすぐ横に置かれていた
　バームクーヘン最後の一切れを横取りした。それがどうかしたのか？」

「そのひとかけらか盗まれたとき、パーティー会場は暗闇だったわ。
　なのに、どうしてそこまで詳しく盗まれたときの状況を
　ロウクス君が知ってるのよ？」

「！」

「ロウクス君、ひょっとして貴方……」

「……いい天気だな、エリーゼ。」

「正直に言いなさい。食べたのね？」

「あのふかふかのバームクーヘンの事か？」

「へぇ……ふかふかだったの？」

「！！！」

「蹴っりぃぃぃぃぃっ！！！！」

「……きゅう。」