TITLE: 第13の機構 −街路に潜む水難事件−

大陸歴 599 11 07 ブランドブレイ王国
ブランディウム城
地下2階 廃棄物倉庫
大陸標準時 01:00 pm

MESSAGE:
「……以上、頭が痛くなるような今回の事件の顛末です。」
「ふむ。調査任務ご苦労。
 しかし君の報告によると、犯人逮捕は午前11時30分となっている。
 今までの1時間、君はどこでなにをやっていたのかね?」
「……人に調査を任せたまま、自分だけ食事に行ってて、
 今まで戻ってこなかったのはどこの誰だか分かってます?
 そのせいで倉庫の前でずっと待ちぼうけくらっていたんですがね?」
「プリマベラ亭のシーフードサラダはおいしかったぞ。
 特に五色の海草で彩られた……」
「長官、そういう話は別に聞いてないっ!」
「そうか、お前はプリマベラ亭よりも姉妹店インビエルノ亭の方が
 良いというのだな?その気持ちはわからんでもない。
 確かにあそこの冬霜サラダは特にバジルの緑がアクセントとなってて……。」
「だからそういう話でもないっ!
 ……っていうか長官なんでそんなに詳しいんだよ。」
「2月騎士団のクラウディオ騎士団長なぞは
 ベラノ亭の夏風ライスが風味さっぱりしてて美味だと
 騎士団の業務日誌に書いていたそうな。今度試して見ねば。」
「業務日誌に書くなよそんなこと。
 あー、なんか余計頭痛くなってきた。」
「風邪か? 仕事に差し支えないようにしっかり治せよ。」
「まぁ風邪ってことにしておいてもいいや、休めるんなら。
 じゃ、そゆことで失礼します。
 あーマジで頭痛い。」
「水に濡れた髪をちゃんと乾かさないから風邪をひくのだ。」
「そういう事言っているんじゃなくて。」
「水で思い出した。
 解決したばかりで申し訳ないが、また君に新しい任務がある。」
「緊急を要するのか?」
「緊急だ。
 つい先ほど、レストランから帰ってくる最中に耳にしたんだが、
 今度は植木に水やり魔が出たらしい。」
「は?」
「町中の樹木という樹木に水をやりながら徘徊している老人が出没しているらしくてな。」
「……は、はぁ。」
「どうもその息子が説得に乗り出しても
 『わしゃあの若者にじょうろの新しい使い方を教わったんじゃっ!』
 の一点張りらしくてな。」
「…………あ、そ、そう。」
「その若者とやらに何かを吹き込まれたようなんだが……ん?
 どうした?頭抱えて?
 何か心当たりでもあるのか?」
「……で、まさか俺に説得に行けと?」
「ご名答。」
「……マジで?」
「マジで。」
「……っだぁぁぁああっ! なんでこうなるんだっ!」


第1話『街路に潜む水難事件』

お・し・ま・い


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