TITLE: 第13の機構 −王都に告げる風雲急−

大陸歴 599 11 24 ブランドブレイ王国
首都ブランドブレイ
地下遺構
大陸標準時 5:00 pm

MESSAGE:
「じゃあリタが先に降りるですっ!」
「大丈夫?」
「こういうのは探検ごっこで慣れてるですっ。とうっ。」

すたっ

「あ、おいっ……平気みたいだな。」
「みゅー、暗いのでライトの魔導灯していいですかー?」
「ああ、頼む。それで、次はどっちが入る、グロリア?」
「私は最後でいいわ。お先にどうぞ。」
「わかった。よいしょっと。」

すとっ

「よし、グロリア、手を貸そうか?」
「そうね、先にこの子をお願い。」
「この子?」
「シュレーディンガーの猫よ。」
「ああ、わかった。先にそいつを預かればいいんだな。」
「ねこさん抱えたままだと降りられないです。」
にゃー。
「……よし、掴んだぞ。
 しかし随分大人しいなこの猫は。
 こういう時に暴れる猫も多そうなんだが……。」
「ねこさんだっこさせてくださいー。」
「ん、ああ。じゃあリタちょっと抱えててくれ。」
にゃー。
「ねこさんふわふわです。」
「グロリア、あとはお前だけ……ん?」
「どうしたです?」
「グロリアの姿が見えないぞ。」
「え?」
「おーい、グロリアー?」
「んー、んーっ!」
「!? おい、どうした!!!」

ごすっ


…………。

「グロリア!?」

…………。

「そこに誰かいるのか!?おい!」

ギィィイイイ

「おにーちゃん! 入り口が塞がっていくです!」
「閉じこめようとしているのか!?
 おい、待ってくれ!
 誰だ、誰がそこにいるんだ!?」

ギィィィイイ……ガコンッ

「全部、閉まっちゃったです。」
「……閉じこめられたのか!?
 一体誰に……?
 内側から開けるスイッチか何かはないのか?」
「みゅー、
 ライトの魔導の明かりの範囲内には
 何も面白いものないです。」
「いや、面白いものじゃなくてだな。
 ……閉じこめられたのに楽天的だな、こいつ。
 結構いい度胸してるかもしれん。」
「どきょうってなんですか?どきょーっ。」
「いや奇声をあげなくてもいい。
 しかし困った事になったな。
 これからどうするか。」
にゃー。
「みゅ?」
にゃー。
「……みゅみゅみゅ?」
「どうした、リタ?」
「ねこさんが喋ってるです。」
「は?」
にゃー。
「『閉じこめられる直前、あの男の気配がした』、って言ってるです。」
「……は?」
「リタじゃないです、ねこさんが。」
「何を馬鹿な。
 お前まであの電波娘の真似事か?
 貸してみろ、猫ごときが人間の言葉を喋るわけが……。」

ひょいっ

《悪かったわね、猫ごときで。》
「……喋った!?」


第4話『王都に告げる風雲急』

――第5話に続く。


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