TITLE: 第13の機構 −王都に告げる風雲急− |
■ 大陸歴 599年 11月 24日 ブランドブレイ王国 |
首都ブランドブレイ
露店市場 |
|
大陸標準時 2:45 pm □ |
「今日は掘りの出し物市よ。見ていく?」 | |
「どうせろくでもないものばかりだろ。」 | |
「みゅー、この結晶みたいなペンダント、なんだか綺麗です。」 | |
「ガラスのようにも見えるけど、その割には光沢が少ないな。」 | |
「ああ、それ? このあいだ倉庫の奥でコンテナの隙間に挟まってたのよ。 太陽に透かせてみると面白いわよ。」 | |
「みゅみゅみゅ?何かうっすら浮き出てきたですよ?」 | |
「幾何学紋様のようですわね。」 | |
「これ、どうやって作られたんだ?」 | |
「さぁ。そんなアクセサリがあるなんて ついこの間まであたしも知らなかったし、 由来とか製法とか全部不明。」 | |
「お前がどうでもいい解釈すら垂れないとは珍しいな。」 | |
「失礼ねっ。調べてみたけど分からなかっただけよ。」 | |
「みゅー、これすごく綺麗ですっ。」 | |
「んー、カットガラスや結晶体には劣るけど、 確かに子供だましな輝きではあるから、 リタちゃんとかの年頃だと興味を惹くのかしら。」 | |
「ってことは全然人気がなかったんだな、コレ。」 | |
「でなかったらとっくに売れてるわよ。」 | |
「みゅー、これ、おいくらですか?」 | |
「んー、そうねぇ。リタちゃんなら20リルでいいわ。」 | |
「ひーふーみー……みゅー、お小遣い足りなかったです。」 | |
「……買ってさしあげないのです?」 | |
「なんで俺が買わなきゃならないんだ?」 | |
「あら、女性が何か欲しがったら、 それを買い与えるのが 古来から殿方の役目でしてよ?」 | |
「なんでそう都合のいい役目ばかり押しつける。」 | |
「みゅ? おにーちゃん買ってくれるですか?」 | |
「あ、いや、なんでも買い与えるのは教育上あまり良くないような。」 | |
「女の子に安物のペンダントひとつすら買ってあげないなんて、 虚しい生き方してるのね。 そんなんじゃいつまで経っても結婚できないわよ。」 | |
「……だからなんで俺はそこまで言われなきゃならないんだ。 分かった、買ってやるよリタ。 ちゃんと大事にするんだぞ?」 | |
「本当ですか!?」 | |
「ああ。」 | |
「わぁい、おにーちゃんからのプレゼントですっ!」 | |
「おい、そんなにはしゃぐな、飛び跳ねるな。」 | |
「大丈夫です、誰もいなかったらリタが結婚してあげるです!」 | |
「はいはい、ありがとよ。 ……でもお前絶対に結婚の意味理解してないだろ。 それでマティルダ、20リルでいいんだな?」 | |
「200リルでもいいわよ?」 | |
「さっき20リルって言っただろうが。ほれ。」 | |
「20リルお買いあげ、毎度〜♪」 | |
「ちなみにそれ原価いくらぐらい……って、 そうか、在庫の管理外なら それすら分かるわけないか。」 | |
「そうねぇ。タダ同然で倉庫に落ちてたモノだしね。」 | |
「おい。」 |
どこに移動しますか? |
|||
【 都市中心街 】 | 【 沿岸貿易街 】 | 【 城塞跡公園 】 |
イベント名『きらきらペンダント』
Copyright(c)1999-2007 Fubuki Kogarashi (木枯 吹雪)