TITLE: 第13の機構 −運河に通じる古代要塞−

大陸歴 599 11 24 ブランドブレイ王国
首都ブランドブレイ
地下遺構
大陸標準時 5:20 pm

MESSAGE:
「ねこさんねこさん、
 どうしてグロリアおねーちゃんに
 飼われているですか?」
《あたしがまだ人間だった頃、
 あの子の遠い祖先が研究所の同僚だったのよ。
 その好(よしみ)がずーっと続いてるってことかしらね。》
「研究所?」
《あたしが居たのはシャロンっていう街。
 そこの研究施設で研究員として魔導金属の開発に従事していたの。
 もとは、シェナ先輩の補佐役だったんだけど。》
「シェナって……魔導金属シェナの開発者か!?」
《そうよ。何驚いてるの?》
「いや、だってそんな伝説級の人名が出てくるとは思いもしなかったから。」
「その人、すごいですか?」
「リタ、お前の家にもスプーンやら鍋やらあるだろう。」
「あるですよ?」
「そういう一般的な魔導金属を発明したのがシェナだ。」
「みゅー、それはすごいですっ。」
《……行方不明になったシェナ先輩の後を引き継いで、
 あたしはそれを更に硬度化するための実験を行ったわ。
 その結果、新しい魔導金属は無事生成できたけど――。》
《反作用であたしの魂は、飼い猫の中に飛ばされた。
 そんなあたしを保護してくれたのが、
 同僚のシュレーディンガーだったの。》
「それで代々世話になってるってわけか。」
《そう。今まではね。》
「みゅ?どうして現在完了形なのですか?」
《あの男が出てきた以上、もう今までのようには行かなくなるから。》
「???」

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