TITLE: 第13の機構 −運河に通じる古代要塞−

大陸歴 599 11 24 ブランドブレイ王国
首都ブランドブレイ
地下遺構
大陸標準時 5:30 pm

MESSAGE:
「なぁ、リリィ。
 ひょっとしてこの地下遺構がなんのために作られたのか、
 知っているんじゃないのか。」
《ええ、知ってるわよ。》
「……じゃあ教えろよ。」
《だって聞かれなかったもの。》
「…………。」
《えっと、何から話せばいい?》
「この要塞が何の為に作られたのか、それが知りたい。」
《決まってるわ、戦争のためよ。》
「いや、そうじゃない。
 要塞が戦争を意図して建てられる事ぐらい、
 俺にだってわかる。」
「リタ知らなかったです、おにーちゃんすごいですーっ。」
「俺たちが有史として習うのは、ラファエル王国崩壊以降の歴史だけだ。
 それ以前の遺物については、ありとあらゆる情報が抹消されている。
 この地下遺構についてもだ。」
《それはあの男が、大陸中の人間の記憶を消して廻ったから。》
「記憶を消す?そんな事が可能なのか?」
《断片的に特定のキーワードにロックを掛ける、
 という程度の性能でしかないみたいだけど、
 語彙の選択次第では強力な呪縛になるわ。》
《彼は、その呪縛のために、
 非常に漠然としたいくつかの言葉を選択した。
 その結果、歴史は人類の記憶から霧散した。》
「リリィ、お前はどうして記憶を持っているんだ?」
《簡単な事よ、あたしが猫だから。
 あの男に捕まることなく、逃げることができただけ。
 ……少なくとも、今日まではね。》

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