TITLE: 第13の機構 −闇夜に下る宰相命令−

大陸歴 599 12 05 シルバニア王国
シルバニア王国
王都 城壁前
大陸標準時 6:10 pm

MESSAGE:
「あれれ、
 リタ、今まで誰とお話していたですか?
 なんだかよく分からないです……あれれ。」
「頭がごちゃごちゃして、とても不安です。
 こんな時――――がいてくれたら。」

ぎゅっ

「――――にもらったこのペンダント、大切にしなきゃです。
 ……あれ。ペンダント、誰に貰ったですか?
 あれあれ、何かおかしいです。」
「嬉しいはずなのに、とても哀しいです。
 誰に貰ったのか、思い出せないです。
 そのことが、すごくすごく寂しいです。」

ぐしぐしぐしっ

「みゅ、おうちに帰らなきゃです。
 ……リタのおうちは、えっと……?
 シルバニア……?」
「あれれ、リタ、どうしてシルバニアにいるですか……?」
「……あれ。どうして泣いているですか?」

ぐしぐしぐしっ

「マルガリータちゃん、探したわよ。」
「あっ、イーディスおばちゃんっ!」
「引っ越し早々、バスケット持ってお出かけしたまま
 帰ってこないってママが心配してたわよ。
 どうしたの、こんな遅くまで?」
「リタ、よく分からないです。
 だけど悲しくて、涙が止まらないです。
 大切なモノ、無くした気分です。」
「……とりあえず帰りましょう?ね?」
「うん……。」
「……マルガリータちゃん?」
「リタ、誰かと約束してたです。
 ずっとここで待ってるって。
 だから……待ってるです。」
「大人になっても、ずっとここで――――。」

おしまい。

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そして、
『真実の抹消者(前編)』へ続く――。


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