「氷屋さーん、お肉ちょーだいー。」
「あらあら、ローラちゃん。一人でおつかい?偉いわねぇ。」
「えへへぇ☆」
「で、なにが欲しいんだい?」
「えーとね、お肉。ビーフシチューにするの。」
「あらぁ、いいわねぇ。
そうねぇ、ビーフシチューだったら……ブランドブレイ産の牛肉がいいかしら。
今、氷漬けの状態から溶かすからちょっと待ってね。」
「はーい。」
「……あら、どこのどなたかと思えばローラではありませんこと?」
「おや、オーロラちゃん。いらっしゃい。」
「あ、オーロラおねぇちゃん、どこいってたの?
オーロラおねぇちゃんがいなかったから
あたしがおつかいする事になっちゃったんだからね!」
「ほほほほほ、野暮なことを聞くものではなくってよ。」
「あー、さてはまた隣のお兄ちゃん家行ってたんでしょーっ!」
「ほほほほほ。
ローラは可哀想ですこと。
貴方にも早くいい将来の旦那様が見つかるとよいですわねぇ☆」
「オーロラおねぇちゃんだってまだ9歳だから結婚できないじゃないっ!」
「あと7年経って16歳になれば
ローラより先に結婚できてよ。
ほほほほほ。」
「い、いいもんっ!
そのうちにきっといつの日か、
私だけの騎士様が迎えに来てくれるんだもんっ!」
「ロクな騎士ではなくってよ。ほほほほほ」
「その騎士様はきっと優しくて、ことばたくみで、詩人さんみたいなの!」
「きっと妄想癖でよく喋るただの変人でしてよ。ほほほほほ。」
「……オーロラおねぇちゃん、なんでそんなこと言うわけー?」
「わたくしの意志ではなくってよ。
誰かが私にそう言わせているのですわ。
ほほほほほ。」
「あー、逃げたーっ!ちょっと待ってよ、おねぇちゃーん!」
「ローラちゃん、はい牛肉……
ち、ちょっと? お肉解凍できたわよーっ!
……あーあ、行っちゃったわ。」