「ローラ、ローラ?どこにいるの?」
「……なぁに?おかぁさん?」
「あら、そんな所に居たのね。気がつかなかったわ。」
「……わかったら、あたしを踏んでるその足を早くどけてよね。」
「ローラ、かくれんぼするなら今度からお外でやりなさいね?」
「おかぁさんが勝手にわたしを踏んづけたんでしょっ!」
「……ローラ、他人のせいにしてはいけませんよっ!
貴方をそんな子に育てた覚えはありませんわっ!
……ママは恥ずかしいわっ! しくしくしく。」
「……どうでもいいから早く足どけて……っ。」
「あのね、ローラ、実は貴方におつかいをお願いしたいの。」
「おつかい?」
「ええ。
氷屋さんでお肉を買ってきて欲しいの。
夕食のビーフシチューに使いたいから。」
「えー……オーロラおねぇちゃんに頼めばいいじゃない。」
「それがねぇ、あの子どっかいっちゃったのよ。困った子ねぇ。」
「あたし、いま絵本読んでて、いそがしいの。」
「あらあら、そうなの。
……わかったわ。じゃあローラのシチューには
ピーマンとニンジンをたっぷり入れておくわね。」
「おかぁさん、にこやかに笑いながら、人の背中ぐりぐり踏みつけないでくれる?」
「で、行ってきてくれるわよね?」
「はいはい。」
「じゃあコレ、お金。落とさないのよ。」
「はーい。」
「そうそう、ちゃんとお釣りも返すのよ」
「……え?」
「何よ、その『え?』ってのは?」
「う、ううん、なんでもなぁい☆ じゃあいってくるねぇ。」
「寄り道しないのよぉ。
…………ってあら、ローラ、どうしたの?
床に寝ころんだままで? 早く買いに行ってきてちょうだい。」
「おかぁさんがあたしを踏みつけてるから、ちっとも動けないんじゃないのっ!」
「……ローラ、さっきもいったでしょ、あれほど他人のせいに……」
「なんでもいいから早くその足どけてっ!」