Forbidden Palace Library #J01 『真実の抹消者(前編)』

『真実の抹消者(前編)』


ブランドブレイ王国 東域
エンハンブレ街道

ジャンヌ 「今までずっと許されない関係だったけど、
 もう終わったの。
 アタイ達の、負けだったけど。」

ジャンヌ 「勝てなかったけど、悔いはないの。
 全力は尽くしたんだから。
 それに、やっとこれで貴方の横に居られるから。」

アーノルド 「……あの男は、絶望に生きろとか言ってた。
 そんなことはさせない。
 俺が希望になってやる。」

ジャンヌ 「……ありがとう。ねぇ、こっち向いて。」

アーノルド 「ん?」


ちゅっ

アーノルド 「!?」

ジャンヌ 「……こんなこと言ったら、
 ふしだらな女って思われるかもしれないけど。
 聞いてくれる?」

アーノルド 「な、なんだ?」

ジャンヌ 「貴方だけじゃなくて――もうひとつ、希望が欲しいの。」

アーノルド 「え?」

ジャンヌ 「……アンタの子供が欲しい。」

アーノルド 「!? だけど、その身体じゃ――。」

ジャンヌ 「ダメ?」

アーノルド 「……馬鹿野郎っ。
 そんなこと言われたら、断る理由がないじゃねぇか。
 それに普通、こういうのは逆だろ。男と女として。」

ジャンヌ 「……じゃあ、言って。」

アーノルド 「な、何をだよっ。」

ジャンヌ 「アタイのこと、どう思ってるのか、ちゃんと言葉で。」

アーノルド 「……す、好きに決まってるだろう。」

ジャンヌ 「本当に?」

アーノルド 「本当に。何度も聞くな。」

ジャンヌ 「愛してる?」

アーノルド 「なっ……。」

ジャンヌ 「愛してないの?」

アーノルド 「……愛してる。世界中で誰よりも。」

ジャンヌ 「ありがとう……っ。」


ぎゅっ

アーノルド 「見えてきた。あの標識を越えれば、
 あとは一直線でアンダルシア市だ。
 二人で暮らそう。何もかも忘れて。」

ジャンヌ 「うん……。」



後編につづく



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