Forbidden Palace Library #01 失われた7枚


王都シルバニア
中央公園

扇型をしたこの都市のほぼ中心に位置するのが、中央公園と呼ばれているこの場所である。
本当は「センティス記念公園」という名前があるのだがそれを知っている者は少ない。
紅葉した木々に囲まれた噴水は絶え間なく水を吹き上げている。


ユリア 「……あら☆
 確か、ボイスちゃんのところの
 秘書ちゃんじゃないの☆」

「ボ、ボイスちゃんって……。
 あのー、仮にも将軍位の方を
 ちゃん呼ばわりしていいんですか?」

ユリア 「いいのよべっつにー。だってあたしの祖父にあたるわけだし?」

「いえ、あの、でも公私というものが……。」

ユリア 「いいんだってば☆
 そんなことより、聞いたわよー。
 なんか師団長達に色々聞き回っているんですって?」

「あ、はい。
 実はユリア師団長にも
 ちょっとお聞きしたいことがありまして。」

ユリア 「あら、なぁに?
 ……あ、わかった!
 昨日のアークとのデートのことね!」

「……はい?」

ユリア 「ねぇねぇ聞いて、アークったらひどい方向音痴でしょ?
 だからね、約束の時間から6時間ぐらい経てばやっと来てるかなーと思って、
 のんびり公園に行ったら、珍しくもうそこにいたの!」

「は、はぁ……。」

ユリア 「これって凄いと思わない?思うでしょ!?
 いつ来たのってきいたら1時間前ですって。
 あのアークが約束の時間に5時間しか遅れなかったのよ!」

(この人もボイス将軍の孫だけあって、やっぱり話すと長くなるんだなぁ。)

ユリア 「こいうことを奇跡って言うのね!
 だから、今日は槍とか高枝切りバサミが降ってくるんじゃないかって、
 ハラハラドキドキ心配してたけど、どうにか大丈夫みたいねー。」

「……アークライト師団長って、そんなに方向音痴なんですか?」

ユリア 「あら?知らないの?先の大戦で、彼が言い放った有名な台詞を。」

「有名な台詞?」

ユリア 「『これ以上、大陸を荒らされると帰り道が分からなくなるんだよ』ですって。
 もうアークったらシリアスな時に真顔で言うもんだから、
 あたし思わず魔導の詠唱中に吹いちゃったわよ。」

(……そんな人がこの国の師団長に就いているのか。
 大戦を経て生き残っているということは、相応の実力はあるんだろうけど、
 なんか先行き不安だなぁ。)

ユリア 「でもでも、アークったら怒るのよー。
 『俺は真剣なんだ』って。それがまた可笑しくて。
 グリフィスちゃんも大笑いで剣を落としそうになっちゃうし。」

(グリフィスちゃん?
 ああ、まだ会っていないグリフィス=ベル師団長のことか。
 ……しかし、よく喋るなぁ。まだ続くのかなぁ。)

ユリア 「どーしたの?なんか疲れた顔してるわよ。
 睡眠不足?だめよちゃんと寝なきゃ。
 知ってる?人間ってね、90分単位で寝ると目覚めが良くなるのよー。」

「はぁ……」

ユリア 「まぁとにかくお大事にね。
 そうそう、あたしこれから晩御飯の買い物があるから。
 じゃねぇ☆」

「はぁ…………ああっ!ユリア師団長っ!
 そういえばちょっとお聞きしたいことがぁっ!
 ……行っちゃった。」

(今のところ出会った師団長達の中で
 アリバイがあるのは……
 エリーゼ師団長、

 ×アリバイがないのは……
 アシスト師団長、
 アークライト師団長、
 ユリア師団長、

 か……。
 これでまだ会っていない師団長は残り2人か。)



▽このまま中央公園にいる
▽城壁へ行く
▽繁華街へ行く
▽住宅街へ行く



▽書庫に戻る


OWNER
Copyright(c)1997-2007 FUBUKI KOGARASHI fubuki@kogarashi.jp 日本語でどうぞ。