「何だ。
また君か。
まだ何か用が有るのか?」
「いえ、あの。
どうして答えていただけないのでしょうか?
もしかして何か人に言えないことでも……。」
「ユリアじゃあるまいしそんな事はせん。」
「あのー、その言い方からすると、
まるでユリア師団長が何かいけないことを
しているかのように聞こえるんですが……。」
「然り。」
「……ユリア師団長が一体何を?」
(まさか……。
まさかユリア師団長がクッキーを!?)
「聞きたいか。」
「ええ、是非とも。」
「私の、邪魔をしたのだ。」
「……邪魔、ですか?」
「ああ。人が女性と話している時にいきなり店に入ってきおって……。」
「どきどき。」
「フランスパン一つ下さいだと!?
人が……。
人がやっとあの娘の手を握るのに成功しそうだったというのにっ!」
「しそうだったってことは握れなかったんですね……。」
「あらぁ、レナードちゃんじゃないの。
どう?
パン屋の娘は口説けた?」
「……先ほどはよくも邪魔してくれたな。」
「あらぁ☆
邪魔だなんてそんなぁ☆
でもレナードちゃんって最近よくパン屋の前にいるわよねぇ。」
「そうそう、おじいちゃんが褒めてたわよ。
レナードちゃん、最近やけに仕事が早いって。
そりゃそーよねぇ。パン屋のアリスちゃんに会う為なら……。」
「ユ、ユリアっ!」
「それって、本当なんですか?」
「もちろんよっ☆
他にも色々逸話はあるのよー。
あのねあのね、この間なんかレナードちゃんったら……。」
「そ、それ以上余計なことを喋るなっ!」
「きゃあ☆ 怖い怖い☆
あたしそろそろ夕飯の準備しなきゃいけないから先帰るわねぇ☆
じゃねー☆」
「あ、逃げた。」
(しかし……。
ユリア師団長って……相変わらずよく喋るなぁ。)
「……いいか。
今聞いたことは全て他言無用だ。
これは副将軍命令だ。いいな?」
「は、はい……。
(こ、恐いよぉ。)
あ、レナード師団長、先ほど確認するのを忘れたんですけど……。」
「なんだね?まだ何かあるのか?」
「レナード師団長は今日の午前10時頃、パン屋さんにいたわけですね?」
「そ、そうだ。それが何か?」
「わかりましたぁ。ご協力どうもぉ。」
(一応パン屋に行って確認してみるか……あれ、でもどこのパン屋さんだろう?)
「レナード師団長、もう一つお聞きしたいことが……あれ?いない。」
(自分で探すしかないのか……。)
(今のところ出会った師団長達の中で ○アリバイがあるのは…… エリーゼ師団長、
△アリバイはないけどお城に行ってなさそうなのは……
×アリバイがないのは……
か……。 |