王都シルバニア
繁華街
陽は山の向こうに沈み、さっきまで夕日で赤く染まっていた空はもはや黒へと塗り替えられている。
だが、繁華街は決して闇に包まれることはない。
巡回の兵士達によって灯された魔導の光が、大通りを昼間のごとく照らし上げる。
その様子を遠くから見ると、まるで街そのものが銀色に輝いているように見えるという。
歴史の真実はともかく、それがこの都市の名称『シルバニア』の由来とされている。
昼間はあれだけ賑やかだった大通りも、夜ともなると少しは落ち着いたようだ。
無くなった喧噪の代わりに、酒場からは大きな笑い声が聞こえてくる。
「あら?どうしたの、秘書さん?そんなに慌てて。」
「あ。
エリーゼ師団長。
あのですね、アシスト師団長を見かけませんでしたか?」
「見てないけど……そう、彼が犯人なのね。」
「ええ、まぁそんなところです。」
「いいわ。
丁度彼を懲らしめるいい機会だし。
私も手伝うわ。」
「え?いいんですか?
無理しないでいいですよ。」
(なんかよけいややこしい事になりそうだから。)
「大丈夫。今日の仕事はもう終わったから。」
(……結構ですって言っても無駄だろうなぁ。)
「分かりました。
じゃあ、お願いできますか?」
「ええ、もちろん!」
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