Forbidden Palace Library #01 失われた7枚


王都シルバニア
王城3階 作戦司令室


ボイス 「……やっと来たか。待ちかねたぞ。
 さて、早速だが、
 これから君にはある極秘任務について貰う。」

「極秘任務、ですか?秘書の私に?」

ボイス 「うむ。
 極秘も極秘、王立軍内部にすら極秘の任務だ。
 まずはこの似顔絵を見てくれ。」

「はぁ……。
 って、この6人……うちの、
 王立軍の師団長たちじゃないですか。」

ボイス 「その通りだ。
 だが悲しきかな。
 この中に犯人がいる。」

「犯人って……一体何の犯人ですか?」

ボイス 「……聞きたいか?」

「はぁ、そりゃまぁ聞かないと任務にならないので……」

ボイス 「そうかそうか、そんなに聞きたいか。よかろう。
 話せば長くなるのだが、そう、あれは今から2年前の春。
 先の大戦に於いて、我々がついに攻勢に転じたとき、わしは……」

(まぁた始まった……。
 ボイス将軍って話し出すと長いんだよなぁ。
 でも本当にこの昔話が任務に関係あるのかなぁ?)


一時間経過。


ボイス 「……わしに対し槍の切っ先を向けるゼルイリアス!
 もはや絶体絶命かと思われた。
 だがわしは怯むことなく悠然と……」

(……この話前にも聞いたんだけどなぁ。これで5回目かな?)


更に一時間経過。


ボイス 「……というわけで大戦が終結した後に、
 わしはいまの将軍の地位についたのだが……。
 はて? 何の話だったかの?」

(……え、何? 今の話は任務とは何の関係もなかったの?)

ボイス 「そうだ!犯人だ!
 信じたくはないが、この中に憎き犯人がおるのだ!
 わしの……わしの……!」

「……ボイス将軍の?」

ボイス 「3時のおやつに取っておいたミルククッキーを食べた犯人がぁっ!」

「…………は?今、なんと?」

ボイス 「聞こえなかったかね?
 この中にわしのおやつを食べた犯人が居るのだ!
 というわけで君にはわしのミルククッキーを食べた犯人を捜して貰いたい。」

ボイス 「犯人の推定犯行時刻は本日午前10時。
 盗まれたのはミルククッキー7枚。
 物的証拠は何もなく、残った8枚のクッキーにも指紋は一切なし!以上!」

「……あの、そんなことで呼んだんですか?」

ボイス 「そんな事とはなんだね!
 これはシルバニア王国王立軍発足以来のゆゆしき事態だぞ!
 一刻も早く犯人を見つけださねばならぬっ!」

「はぁ……。
 クッキーぐらいまた買ってくればそれでいいじゃないですか。
 じゃあ私、執務室に戻りますので……」

ボイス 「そうか。君にはクッキー道が理解できないようだな。」

(別にそんな道、理解なんかしたくないってば……)

ボイス 「わかった。じゃあ君は本日付けで解雇と。」

「あ、今とってもその仕事やりたいなぁと思ってたんです。
 わーい、うれしいなぁ。
 わーいわーい。」

ボイス 「そうか。やってくれるか。
 わしはいい部下をもってうれしいぞ。
 とゆーわけで早速犯人を見つけてこい!よいな!」

(はぁ……なんか大変なことになっちゃったな……。)

▽とりあえず城を出る



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