Forbidden Palace Library #05 異存なき決定


王都シルバニア
城門前

山の斜面に位置する王城へ出入りするには、ちょっとした坂を上る必要がある。
周囲を決して見通しの悪くない林に囲まれたその石畳の坂は幾星霜もの間、踵に蹂躙されていたせいもあり所々くぼんでいるところもある。
かつて、そのくぼみを直すべく予算案が組まれたこともあったが、国王の勅令によって工事計画は中止された。 その時の国王は理由としてたった一言こう述べたという。
「この石畳のくぼみには、この国を支えてきた人々の足跡が付いている。私はそれを無視する事はできない」、と。


ベル 「いたぞっ!あそこだっ!」

アシスト 「あ、おい、グリフィス、あんなところに1000リル硬貨がっ!」

ベル 「なにっ!どこだっ!?」

アシスト 「イ・キルティ・リ・キルティ
 鋭利なる氷柱よ我が各々の手に具現せよ!
 ツインアイスィクルッ!」


ザシュッ! ザシュッ!

ベル 「あ、あぶねぇなぁっ!何をするアシストっ!」

アシスト 「ふっ。愚か者。硬貨は500リルまででそれ以上は紙幣だという事に先に気づけ!」

ベル 「だ、騙したなぁっ!?アシスト、貴様ずるいぞぉっ!」

アシスト 「ずるい? 戦いに卑怯も何もない。
 勝ちが全てさ。負けたらどうにもならんからな。
 というわけで俺は先に行くぞ。待て、秘書っ!」

ユリア 「私も居ることを忘れちゃダメよ、秘書ちゃん☆」

(追っ手の数が減ったことを喜ぶべきか、その分余計にたちが悪くなったと考えるべきか……)

アシスト 「……ユリア、二人で魔導の同時攻撃というのはどうだ?」

ユリア 「あ☆それナイスアイディアっ!」

「ち、ちょっと待ってくださいよぉぉぉぉっ!?
 大陸で5本指に入る魔導師を2人も敵に回して
 勝てるわけないじゃないですかぁぁぁっ!」

アシスト 「だったらとっととあきらめて書類よこせってば。な?」

「そうはいきませんっ!」

アシスト 「……強情な奴め。」

ユリア 「秘書ちゃぁん、降伏した方が身のためよぉ☆」

アシスト 「あ、そこの角曲がったぞっ!」

ユリア 「え?どっち?」

アシスト 「たぶんこっちの……のはずだっ!」

ベル 「お前ら俺を置いて行くなぁぁぁぁぁぁぁっ!……ん?」



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