「というわけで新副将軍はケイン=アークライトに任命いたしますわ。」
「うん。ありがとう、レミィ陛下。」
「おめでとー、アーク☆」
「アークライト副将軍、おめでとうございます。」
「何か……私はとてつもない間違いを犯してしまったのでは……」
「どうした、秘書?」
「いえ、なんでもないです。」
「……ふぁ。眠くなってきたのでちょっと一眠りさせていただきますわ。」
「女王陛下っ!!!」
「だってわたくし、眠いお年頃ですもの。zzz」
「ね、眠いお年頃って一体……」
「ということは陛下と同じ年齢の俺も眠い年頃なのか?」
「え?アシスト師団長っておいくつでしたっけ?」
「俺?25。」
「女王陛下っ!起きて下さいませっ!」
「zzz……ふにゃふにゃ……うにゅーん……」
「あーあ、寝ちゃった。」
「レミィちゃん、一度寝るとなかなか起きないのよねぇ。」
「でもそのわりには、夜中になると元気にお城の中歩き回っているよな。」
「……あれ?」
「どうした、秘書?」
「いえ、
レナード師団長が将軍に昇格すると言うことは、
王立軍第二軍は今後誰が指揮するんです?」
「何故あらかじめわしに聞いておかんのだ?」
「いえ、
何度もお尋ねしようとしたんですが
その間ずーっとクッキー買いに行ってて留守だったじゃないですか。」
「ああ、だからじーさんの顔見るのやけに久しぶりなわけだ。」
「そうか。そうやって他人のせいにするのか、秘書は。」
「た、他人のせいって……だって実際……」
「よしわかった。じゃあお前は本日限り……」
「あ、う、嘘ですっ!全て私が悪いんですぅっ!」
「そうかそうか。」
「じゃあ罰として俺の実験台ってことで。」
「な、なんでそうなるんですかぁぁぁっ!?」
「……ロウクス君?」
「あ、いや、嘘だ。いてっ!そんなに強くつねるなよエリーゼっ!」
「……レミィ陛下の前だから蹴りだけは勘弁してあげるわ。」
「で、今後は誰が第二軍を指揮されるんですか?」
「うむ。本来ならば
第二軍の副師団長が師団長に昇格するのだが、
レナードの率いていた第二軍はかねてより副師団長が欠員でな。」
「ということは私が師団長に昇格した時と同じ状況なわけですね?」
「つまり、
しばらくの間は副師団長として師団長代理を経験して、
しかる後に師団長に、ということですか?」
「そういうことじゃ。」
「ところでその役職には誰が?」
「そろそろ来る頃だな。」
「…………え?」
「前にも言ったと思うが、この国の慣習でな」
「……この音は……」
「師団長・副師団長の欠員補充には基本的に」
「……あのー、ひょっとして……」
「城壁守備隊長が昇格することになっている。」
「ま、まさかっ!?」
(音が止まったっ!!!)
「シルバニア王立軍第2軍副師団長 ジェラード=コペルニクス、入ります。」
「そっ、そんなっ!?」
「ん?おお、貴様か。
また会ったな。
どうだ、俺様の華麗なる高枝切りバサミもこの日の為にピンクのリボンを……」
「ええっ!?
う、嘘ですよねぇっ!
ねえ、ちょっと、レナード将軍!?」
「ふむ……蝶々結びのリボンの事か?私は決して嫌いではないが……」
「そうじゃなくてっ!本当にこの人が第2軍の副師団長になるんですかぁっ!?」
「……何か異存でも?」
「ち、ちょっと待ってくださいよぉぉぉぉぉぉっ!!!」