Forbidden Palace Library #06 揺れるその瞳


王都シルバニア
住宅街

丁度お昼ご飯の時間だからだろう、町を行き交う人はあまり多くない。
だがこの時間を過ぎれば、また町は人で溢れ返る。

パン屋ソフトブレット。
そう刻まれた木彫りの看板の店の中、1人の少年がカウンターに座っている。


ユリア 「あっれぇ?」

「どうしたんですか?」

ユリア 「お店の中にアリスちゃんがいない。」

「え?あれ?本当だ。……聞いてみましょうか?」


からんからん


デニス 「いらっしゃいませー。」

ユリア 「ねぇねぇ、デニスちゃん、おねぇちゃんどこ行ったかしらない?」

デニス 「レナードおにぃちゃんと一緒に中央公園に行くって。
 僕も行くって言ったらおねぇちゃんお留守番してなさいだって。
 おねぇちゃんたちずるいよ。大人ってずるいよ。」

「いや、それはちょっと違うんじゃ……」

デニス 「もしかするとやぱり僕この家の子供じゃないのかもしれない。
 やっぱり僕がセロリ畑で生まれたんだうぇーん。
 セロリ嫌いなのにでも好き嫌いはしちゃダメだっておねぇちゃんが」

「……あ、あのー、もしもし?」

エリーゼ 「大丈夫よ、デニス君。
 貴方はこの家の子のはずよ。
 だってお姉ちゃんと同じ髪の色しているでしょ?」

デニス 「……うん。わかった。帰ってきたら聞いてみる。ありがとう。」

エリーゼ 「いいえ、どういたしまして。」

アシスト 「……お前、優しいな。」

エリーゼ 「な、何よ?」

アシスト 「……いや、いい母親になれるぞと思ってな。」

エリーゼ 「な、な、何言っているのよっ!」

ユリア 「とにかく、レナードは中央公園に行ったみたいね☆」

「……あのー、やっぱり行くんですか?」

ユリア 「もっちろんー☆」



▽中央公園へ行く



▽書庫に戻る


OWNER
Copyright(c)1997-1998 FUBUKI KOGARASHI (木枯 吹雪) fubuki@kogarashi.jp 日本語でどうぞ。