Forbidden Palace Library #07 夜明けの前に


王都シルバニア
アシスト邸

王城から近い住宅街の一等地に存在するアシスト邸。
華やかさはなく、むしろ質素という言葉が似合う。

飾り気のない外壁は以前の持ち主の趣味なのか、それとも彼がそれを選んだのか。
どちらにせよ、機能美という言葉が相応しい。


「あれ、ベル師団長?こんな時間にどこに行くんです?」

ベル 「よぉ、秘書か。
 え?なにしているのかって?
 ちょっと通りがかっただけさっ。」

「……こんな真夜中にですか?」

ベル 「ごめんよぉぉぉっ。嘘ですぅぅぅぅっ。
 本当は窓枠の修理に行くところなんだよぉぉぉっ。
 修理すればするほど壊れていく。あぅぅぅぅぅ。」

「は?
 ひょっとして……前作で壊した窓枠のことですか?
 ってことは、あれ、まだ直っていなかったんですか??」

ベル 「あぅぅぅぅぅぅぅ。
 壊した壁の修理を昼間してたら苦情が来ちまってさぁ。
 それで夜中なら誰も文句言うまいと思って修理に……。」

「い、一体修理に何日かかっているんです?」

ベル 「だからさ、手伝ってくれない?
 俺がやるとどんどん壊れて行くからさ。
 ね☆」

「いえ、ですからウィンクされても困りますってば。
 私も一応まだ仕事中ですし……。
 はぁ。ま、お互い頑張りましょ。」

ベル 「はぅぅぅぅぅぅっ。」



▽アーク邸へ行く
▽ハーシェル邸へ行く

★★



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