王都シルバニア
住宅街
南半球に存在するこの大陸では、暖かい風が北から吹き込んでくる。
春が過ぎ涼季を経たこの季節、シルバニアはほのかな暖かさに包まれる。
夏が訪れないこの地方で、今がもっとも暖かい季節なのである。
子供達もそんな季節をめいっぱい満喫しようとしているのだろうか、
冬に寒さから逃れるために駆けっこをしていたのとは異なり、今の季節を心から楽しむかのように住宅街を走り回っている。
「ベル師団長っ!!!」
「ん?なんだ?お前も一緒に届けに行くか?
確か拾得物の届け先って城壁か、あるいは王城の一階で
よかったんだよな?」
「ええ、そうです。
そのあたりも王立軍の管轄……ってそうじゃなくて!
いえ、ですからあのー、ベル師団長。」
「なんだ?さっきから?」
「その紙、無条件で私に渡してくれたりしません?」
「……秘書。
落とし物を横領するのはよくないぞ。
な?俺がちゃんと届けてやるから。」
すたすたすた
(ですからそれはもともと私のなんですってばぁぁぁっ!!!)
▽ 追いかけて王城に行く
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