Forbidden Palace Library #09 君だけの騎士


シルバニア王国
バレンタイン港
郊外

小高い丘の上の、木の下に正方形をした石のプレートが置かれている。
人が死して地面に還された後に置かれる墓石。
そこにはこう名が刻まれている。
『ソフィア=アンペール』、と。



ベル 「久しぶりだな。
 ……悪いな、来るのが遅くなって。
 なかなか長い休暇が取れなくてさ。」


………………。


ベル 「まだあれから2年か……お前のいない月日って長いんだな。」


………………。


ベル 「ん?花束がいくつも添えられている?
 どういうことだ!?
 俺以外の誰かがここに!?」


てとてとてと


ベル 「……! お前は…………。」

??? 「あっ! あの時の、あたしを助けてくれたおにぃちゃんだ!」

ベル 「まさか、この花束はお前が……?」

??? 「うん。毎日きれいな花を摘んで持ってきているの。
 キレイなほうが、あの時のおねーちゃんも喜ぶと思って。
 ほら、今日も持ってきたの。」


ふぁさっ


ベル 「………………。」


てとてとてと


??? 「あの時、おにぃちゃんと一緒にあたしを助けてくれた
 もうひとりのおねぇちゃんは、
 ここに眠っているんだよね。」

ベル 「……そうさ。ずっと若いまま眠っているんだ。」

??? 「あたしいつもね、ここに来て
 『おねーちゃんありがとう』
 って言っているんだよ。」

ベル 「……そうか。いい子だな。」


………………。


ベル 「なぁ、ソフィア。
 ずっとお前に言えなかったけど、
 俺には、どうしても叶えたかった夢があったんだ。」


………………。


ベル 「いつの日かきっと、
 レィディ
 女性を守れるような、
 君だけの騎士になるために俺は……俺は…………。」

??? 「……おにいちゃん、泣いてるの?」

ベル 「いや、目にゴミが入っただけさ…………なあ、レィディ?。」




おしまい。



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