「……皆様、ご着席ください。
国歌斉唱に続きまして、
『王立劇団による国旗の舞踏』。」
(歌詞は失われても、
曲だけは脈々と人の心に流れ続ける、
か……。)
「我が国の王立劇団は、
建国当初の二次遷都計画委員会の一部有志による
市民結成をきっかけとしており……。」
「くー。」
(陛下寝てるし……。)
「……?」
「おい、秘書。」
「あ、レナード将軍。どうしました?」
「コペルニクスが何処行ったか知らないか?」
「え?
それなら他の役職の方々と共に師団長席に、
……あれ?」
「なにゆえ王城にいるはずのユカワが
ちゃっかりコペルニクスの席に座っているのかという
問題点はともかく、」
「……それはそれで重大な問題のような気も。」
「呼びましたか?」
「呼んでない。」
「了解です。」
「これからフラッグダンスが始まるというのに、
一体奴がどこへ行ったのか……。
いや、お前も気づかなかったのならそれはそれで仕方ない。」
「……なんかとてつもなく嫌な予感がするんですが。」
「!!!」
「!?」
「あの音は……っ!?」
「秘書っ! 舞台の袖だ!」
「えっ!?」
「ちゃきーん。」
「……ああああああ。」
「……一際目立つな、特にあの長さが。」
「あの人はあんな場所で一体何を……。
!
まさか……。」
「…………。」
「ユカワ、知ってて替わったのか!?」
「その方が面白いですし。
ほら、王城で秘書さんが
もっと面白い方がいいって……。」
「そんなこと言ってませんっ!」
「ちゃっきーん!」
「誰かあいつを取り押さえろっ!!!」
「誰かって……あの、もしかして?」
「そうだ!
秘書っ、お前以外に誰がいる!?
これ以上事態がおかしくなる前にっ!!」
「もう充分おかしなことになっているような気も……。」
「……それは、全て秘書の責任にしてもよいという解答だな?」
「ええっ!? なんでそうなるんですかぁっ!?」
「ならば早く行って、奴をとっ捕まえろ!!!」
「そ、そんなぁあああっ!!!」
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