Forbidden Palace Library / 『星降らす銀の天蓋』 /

■ 法都エルメキア
□ 法院(最高議会)

セディ 「いいか、世界には使役する側とされる側がある。
 貴様らは全員支配される側だ。
 私の駒となり手の中で動いていればよいのだ。」

メルフィア 「ちょっとまさかセディ、貴方そんな理由――。」

セディ 「ふっ。それ以外に何がある?」

メルフィア 「……馬鹿ね。
 あなた、本物の馬鹿か変人か。
 間違いなくそのどっちかよ!」

セディ 「ふっ。それほどでも。」

メルフィア 「褒めてないわよっ!」

??? 「たった二人の反乱軍など、今まで聞いたこともない!」

ヴェンツェスラウス 「――『たった二人』。
 もしくは『二人も』か。
 言葉一つで大きな違いだな。」

??? 「ヴェンツェスラウス、何をぶつぶつ言っている?
 事は重大なのだぞ!
 法兵、彼らを捕らえよ!」

セディ 「ふっ。愚かな。
 この私に指一本でも触れることができるなど、
 妄言も甚だしい。」

??? 「ゆけ、何をしている!?」

セディ 「その身を以て己が愚かさを知るがいい!
 ――シェレナス・ワイナ・セレクメーセ!
 密集せし幾多の氷塊よ、貫き突き進めっ!

メルフィア 「!
 ……ウィ・エリス・セルティアス
 突風よ我が目前の障害をなぎ払えっ!

セディアイスファランクス!

メルフィアウィンドスラッシュ!


ザシュザシュザシュッ!


パキィィィィィン!

??? 「ま、魔導効果が重なって威力が増しただと!?」

セディ 「ふっ。
 我が氷撃に追い風を掛けるとは。
 メルフィア、なかなかやるな。」

メルフィア 「貴方こそ。そんな高精度な魔導を見るのは初めてよ、セディ。」

??? 「ええい、たかが二人相手に何をしている!
 他の法兵はおらぬのか!
 増援を呼べい!!」

ヴェンツェスラウス 「――無駄ですよ。
 彼らに普通の戦いは通用しない。
 貴方が言ったように、事は重大だ。」

メルフィア 「!?」


すっ

セディ 「……貴様が。
 貴様がこの国の最高権力者、
 ヴェンツェスラウス最高法師か。」

ヴェンツェスラウス 「ええ。一応名目上は。
 もっとも、たったいまよりその実権も、
 私が掌握することになりますが。」

??? 「なんだと、ヴェンツェスラウス、お前は一体何を――?」

ヴェンツェスラウス 「ああ、挨拶がまだでしたね。
 ようこそ宰相エルネスト。
 三分割国家が一つ、法と秩序のエル・メイキアへ。」

セディ 「!!!」

メルフィア 「なっ……!?」


ざわっ



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