Forbidden Palace Library #W01 『真実の継承者(前編)』

『真実の継承者(前編)』




セリフォス共和国
首都セリフォス



コバルト海に浮かぶ大陸の離島、セリフォス。
この島の歴史は大陸歴と同時に始まると言われている。

かつて存在したラファエル王国の崩壊時、王都シャロンに住んでいた人々の逃げた先がこの島だったと、歴史の教科書では教えている。
もっとも、幻の王都シャロン自体が大陸のどこに位置していたのか未だに知られていないため、その真偽は明らかにされていないが。


歳月は流れ、300年後。
大陸歴639年

セリフォス大図書館

オービル 「……ウィルバー兄さん、本当に行くの?
 だって、大陸にはエンディルが攻めてきているんだよ?
 わざわざそんなところに飛び込む事ないじゃない。」

ウィルバー 「ああ、だからこそ行くんだ。
 エンディルとの戦争、それも300年前とは規模が格段に違う。
 とすれば、奴は歴史の裏から再び登場するはず……。」

オービル 「……よくわからないけど、死なないでね。」

ウィルバー 「ああ、ありがとよ、オービル。」

オービル 「だってウィルバー兄さん死んだら葬式とか事後処理とかでお金かかりそうだもの。」

ウィルバー 「……もし俺が財産もってたら死んでも構わないと?」

オービル 「そうとも言うかもしれない。」

ウィルバー 「オービル、お前というやつは……」

オービル 「痛い痛い、冗談だってばウィルバー兄さん。」

ウィルバー 「とにかく、後は任せたぞ。 次はいつ戻れるかわからないからな……。」

オービル 「いってらっしゃい。手ぶらで帰ってこないでね。」

ウィルバー 「それは俺におみやげ買ってこいと?」

オービル 「そうとも言うかもしれない。」

ウィルバー 「オービル、お前というやつは……。
 まぁいいや。
 ……じゃ、行って来るぜ。」

オービル 「? どこの方向見ながら言っているのさ?」

ウィルバー 「玄関に飾って有る肖像画に言ってるんだよ。」

オービル 「前から気になっていたんだけどさ、この人、誰なの?」

ウィルバー 「マリー=アシスト。
 俺達の祖先だ。
 そして、子供の顔を見ることなく死んだウィリアム=アシストの妻。」

ウィルバー (俺はこの日のために可能な限り魔導を身につけてきたんだ。
 図書館地下3階の封印を解いてまでも俺は禁呪を手に入れた。
 そう、ウィリアムの……仇を討つために。)

ウィルバー 「……待ってろよ。
 必ず、見つけだしてやる。
 そして、仇を討つ。……討ってやるっ!!」



そして、後編に続く。



▽なかがきを読む



▽書庫に戻る


OWNER
Copyright(c)1997-1998 FUBUKI KOGARASHI (木枯 吹雪) fubuki@kogarashi.jp 日本語でどうぞ。