地下室


……遠く遠く、遥か彼方……
数多の森を越え、数多の山を越え、数多の砂漠を越えたその先に本はある。
だがそれを見いだすのは困難極まりない……。

そんな遠くに……。

決して手の届かぬ場所ではないのだな?

ええ。
ですがその道のりは非常に困難です。
生命が危険にさらされる可能性すらあります。

不可能でないのならば試す価値はある。
ラッセル、旅支度をしろ。
今すぐにだ。

ほ、本気ですか?御主人様?
御主人様がそのような危険な目に遭われるぐらいでしたら私が……。

ならぬ!
あの本を普通の人間が手にすることはならぬ。
それ故にあの本だけはお主にも触らせておらぬのだ。

御主人様……。

ラッセル、もう一度言う。
旅支度をしろ。
今すぐにだ。

……かしこまりました。

続き


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