『僕は、語らない』
「爆破っ!?
そんな魔導は聞いたことがないぞ!?
どうやって!?」
「……その為に色々と持ってきたものがある。
濃硝酸と濃硫酸の混合液を冷やし、
脱水したグリセリンを加えた物だ。」
「……このオリーブオイルみたいなものが、か?」
「そうだ。遙か太古に鉱山発掘用に使われていたのと、
同じ技法で作った物だ。
これを岩盤の側に置いて……そして、遠隔から熱する。」
「?」
「……スウェル・ライア・エレフローレ。
大気の熱よ一点に集え。
ヒート!」
「ぐっ……!」
「げほげほげほっ……っ!」
「ごほっごほっ……んんっ……煙が目に……っ。」
「……爆破は成功だ。」
「!?」
「……穴が……どこまでも続く横穴が空いている……。」
「そうだ。このトンネルの向こうに、アイレスがある。」
「メンデル隊長。疑うわけではないのですが。
もしその話が本当だとすればどうして今まで誰も
アイレスに到達できなかったんです?」
「簡単なことだよ。
誰もこのルートを知らなかった。
それだけの話だ。」
(……じゃあ隊長は、どうしてこのルートを……?)
「あ!トンネルの入り口に妙な物が!」
「……ほぅ、これは。」