『僕は、語らない』
「まさか、
ずっと僕達の後を付けていたり、
時折忠告の声を投げかけていたのは……。」
「ふっ。
やはり気づいていたのか。
ならばその時点で引き返しておけばよかったものを。」
「……トンネルを封じるのが遅かったか。」
「どうやって封じるつもりだったのだ?
魔導で破壊するには威力が足りないだろう。
……ん?この匂いは……。」
「分かるのか、この匂いがっ!?」
「匂い……?」
「……火薬の匂いか……なつかしいな。
改めて、私がいまここにいなければならない理由を
思い出させてくれるな。……本当に懐かしい匂いだ。」
「!?
もはやこの大陸の人間は火薬の存在すら知らないはずなのに、
何故これが火薬だとわかる!?」
「その質問、そっくり貴様に返したいところだな。
……そうか、その大量の火薬でトンネルを封じ、
追跡者から逃れるつもりだったのか……なるほどな。」
「ぐっ……!」
「とりあえず周囲に火薬の入った袋を置いたその状態で、
邪魔者である私が現れたということか。
……しかし実に案配のよいところに火薬が置かれているな。」
「!?」
「火薬というのは、このようにして使うのだ。」
「え?」
「……ユメル・ヴァイス・ガーディエル
煌々たる炎よ 己が力を解放し破裂せよ!
イクスプロージョンっ!!!」
「!? 連鎖爆発っ!?」
「ふっ!」
「ぐぁあっ!?」
「ライアンっ!!!」
「…………ふっ。
遠くに仕掛けられた火薬までは連鎖爆発を起こさなかったか。
だが、それでも威力は十分だったようだな。」
「あ……ぐぁ…………。
なんだ……どうして……。
俺の体が……血に……染まって……。」
「ライアン!大丈夫か!?」
「……そうか、そういうことか。」
「!?」