Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『僕は、負けない』



ノーベル邸、夜。


サード 「フィオナちゃん、まだかな。わくわく。」

ファースト 「……何あんた『わくわく』とか口に出してんのよ。」

サード 「え、だってフィオナちゃんが
 手作りのパンを持ってきてくれるんだよ?
 ファースト姉さん見たく、胡桃が殻ごと入ってないやつ……。」

ファースト 「……サード。なんか言った?」

サード 「い、いや、何も。何も言ってない。」

セカンド 「姉貴、そのぐらいにしてそろそろご飯にしないか?」

ファースト 「……そうだね。
 もうじきあの子も来るでしょうし、
 先に並べておこうかね。」

サード 「ほっ、セカンド兄さんありがとう。」

セカンド 「ガールフレンドと夕飯一緒に食べるのは楽しみかい?」

サード 「ガ、ガールフレンドだなんて、
 そんなんじゃないよ。
 ただ小さい頃から幼なじみで、いつも一緒にいるだけで。」

セカンド 「……そういうのをガールフレンドっていうんだよ。」

サード 「え?そうなの?
 ……で、僕まだ古代世界語よくわかんないんだけど、
 それどういう意味?」

セカンド 「あー、えっとだな、つまり……。」


こんこんっ


サード 「あ、フィオナちゃんだっ!
 珍しく表玄関から来たのかな?
 はーい、いま開けるねーっ!」


たったったったっ


セカンド 「あーあ、そんなにはしゃぐなってば。
 ほら、みっともないぞ。
 ……聞いちゃいないよ。」

ファースト 「ま、今日ぐらい無礼講かしらね。」


こんこんっ


セカンド 「……あれ?裏口からもノック音が聞こえなかったか?」

ファースト 「え?」


こんこんっ


フィオナ 「ごめんくださーい。」

ファースト 「おや、あの声はフィオナだね。」

セカンド 「……え?
 …………姉貴、じゃあ、
 サードがいま表に迎えに行ったのは、誰だ?」

ファースト 「……え?」

フィオナ 「きゃああああああっ!」

ファースト 「!?」

セカンド 「!!!」

ファースト 「フィオナ、どうしたのっ!?」


たったったっ


セカンド 「姉貴、待てっ!
 ……ちくしょうっ、
 この足が自由に動けば!!!」




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