Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『僕は、負けない』



ノーベル邸、玄関。


サード 「はーい、いま開けるねーっ。」


がちゃっ


??? 「今晩は。」

サード 「!?
 えっと、あの、
 ど、どなたでしょうか?」

??? 「『アーネスト・ガーディアン』の使者だ。」

サード 「えっと、アーネスト、さんですか?
 あ、あの、
 どういったご用件で……。」

??? 「宰相命令の遂行に来た。」

サード 「命令……宰相?」
(え?
 この国に宰相なんかいたっけ?)


すらりっ


サード 「!?」

??? 「こういう用件だ。」


しゅっっっっ!


サード 「!!!」


ざっ


サード 「!?!?」

??? 「ほう、避けたか。武術の心得は一応あるようだな。」

サード 「い、いきなり剣を抜くなんて、一体なんで……!?」


こつっ こつっ こつっ


セカンド 「サード、退け! そいつは――――。」

サード (!
 セカンド兄さんが笑ってない!
 こんな険しい顔、初めて見た……っ!!)

??? 「ほう、セカンド。
 まだ生きていたか。10年ぶりだな。
 足の具合はどうだ?」

セカンド 「!!!
 ……また来たのか、ヒューバート。
 ああ、貴様のせいで俺の足は見ての通りだ!」

サード 「セカンド兄さん……どういうこと?」

セカンド 「こいつらは、アーネスト・ガーディアン(Ernest Guardian)。
 ……その最初の名前を古代世界語ではなく、
 エングリシアで発音すれば正体はお前でもわかるだろう。」

サード 「Ernest Guardian……。
 エルネストの守護者!?
 あの、エルネストって――。」

ヒューバート 「ラファエル王国、宰相エルネスト。」

サード 「!!! え、だけど、
 ラファエル王国は300年以上前に
 滅びたんじゃ……。」

ヒューバート 「その通り。確かに滅びた。
 だが、王国補佐官を祖とする私らの中では、
 あの王国はまだ生きているのだよ。」

サード 「王国補佐官!?」

ヒューバート 「7人いた補佐官のうち4人に連なる子孫の者が、
 エルネストの発令した全ての命令を自発的に遂行している。
 それが『アーネスト・ガーディアン』だ。」

サード 「目的は――?」

セカンド 「目的が10年前と何ら変わっていないのであれば、
 こいつらは、俺達ノーベル家を
 根絶やしにしようと来たはず。」

サード 「!」

ヒューバート 「いや、厳密には――逃亡者を粛正に来ただけだ。」

サード 「と、逃亡者っ!?」




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