『僕は、負けない』
「そんな……!」
「私ら『アーネスト・ガーディアン』は宰相の命令を
時を経ても今なお忠実に実行しているに過ぎない。
悪く思わないでくれたまえ。」
「……だからって、
そうですかって殺されるわけにはいかないんだ。
特に、お前等みたく子供にすら容赦ない奴らにはな!」
「あの時は君たちの父上に阻止されたが、
今日は幸いその父上は留守にしているはずだ。
セカンド、こんどはその右脚だけではなく、心臓を頂こう。」
「!!!」
「!」
「……セカンド兄さん、
その右脚は事故で怪我したんじゃなかったの!?
じゃ、じゃあ、本当は……!!!」
「ああ、そういうことだ。
お前はまだ小さかったから覚えてないかもしれんが、
俺は10年前――この目の前の男に右脚を奪われたんだっ!」
「!!!」
「そして、お母さんは幼かったサードを守ろうとして……。
覚えていないだろうが、お前はその目で見ていたはずだ。
――あの時から、お前は臆病になってしまった。」
「そ、そんなっ……。」
「……今の音は?」
「え?」
「!!!
フィオナの声だ!!!
フィオナっ!」
「行けっ、サード!
ここは俺がくい止める!
右脚は使えずとも、俺にはまだ左脚と両腕がある!」
「美しき兄弟愛か……華麗なる散り際というのもまた美しい。」
「セカンド兄さんっ!」
「なにをもたもたしている!
早く行けっ、サード!
姉貴とフィオナを助けてやれっ!!!」
「う、うんっ!!!」
「……今生の別れは済んだか?」
「別れを告げるのはお前の方だ、ヒューバート。」
「……ほう。
松葉杖に刃を仕込んでいたか。
面白い、せいぜいそれで抗うがいいっ。」