Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『僕は、負けない』



そして、時は流れ。
大陸歴324年。


キャベンディシュ 「シルバニア公国バレンタイン港より伝令!
 港湾区内部の至る所にて空間の裂傷を確認とのこと。
 間違い有りません、エンディルの侵攻の前兆です!」


かっかっかっ


ミリオン 「ついに来たか、この時が――。」

キャベンディシュ 「これは、ミリオン王子っ!」


ざっ


ミリオン 「礼はいい、そのまま報告を続けろ。」

キャベンディシュ 「はい。」

ヘルツ 「公国の軍事力はどうなっとる?」

キャベンディシュ 「計3個師団全てが公都にて待機中です。
 その他、各都市・地方レベルでの市民軍も存在しますが、
 治安維持以上の防衛能力はないとのことです。」

ラグランジュ 「動ける軍隊が存在しない、ということか?」

ヘルツ 「事実上、そうなりますな。」

ラグランジュ 「何のための軍隊だっ!
 公都の人間だけが公国の国民ではないぞ!
 シルバニアは何を考えているっ!」

コペルニクス 「……ラグランジュ騎士団長。我が国の影響力喪失を恐れ、
 必要以上の軍事力を持たせないようにしたのは、
 かつての我々ブランドブレイ騎士団です。」

ラグランジュ 「ぐっ、馬鹿な真似を……っ!」

キャベンディシュ 「その、シルバニア軍ですが――。
 現在、公都にて特設師団を2個急遽編成中とのことですが、
 侵攻までに間に合うかは……恐らく無理ではないかと。」

ミリオン 「――我が国から騎士団を派遣するしかない、
 ということだな。わかった。
 皆の者、聞いての通りだ。」

ヘルツ 「…………。」

ミリオン 「この報告を、隣国シルバニア公国からの事実上の救援要請と受け取る。
 我がブランドブレイは宗主国として騎士団を防衛に派遣する。
 誰か、行ってくれる者はいないか?」


…………。


ミリオン 「なんだ、それでもお前たちは誇り高きブランドブレイ騎士団か!
 いつから騎士団はそんな保身に走るようになった!
 ああ、嘆かわしい! 腰抜けどもめっ!」

サード 「――僕が、行きましょう。」

ラグランジュ 「!」

コペルニクス 「!!」

ミリオン 「サード=ノーベル!」




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