Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『僕は、負けない』



ミリオン 「サード=ノーベル! 若いお前が行ってくれるか!」

サード 「はい。」

ヘルツ 「……。
 若者に何ができる。
 出世欲に魅入られて命を落とすなど愚か極まりないぞ。」

サード 「違う!そんなんじゃない!」

ミリオン 「黙れ、ヘルツ!
 動かない騎士団などただの役立たずだ!
 お前のような腰抜けよりは職務を果たしている!」

ラグランジュ 「それで、
 ノーベル7月副騎士団長。
 具体的にどうするつもりだ?」

サード 「はい。
 ステラ港の7月騎士団を率いて、
 バレンタイン防衛へ向かいます。」

ラグランジュ 「お前自身はどうする?
 指揮官の合流を待っていたのでは
 間に合わないぞ。」

サード 「騎士団は先行させます。
 僕自身はウニベルシダー経由で山道を越え、
 街道途中での合流を図るつもりです。」

ラグランジュ 「――できそうか?」

サード 「はい。
 僕の方は少人数の強行軍で昼夜を問わず突き進めば、
 メーヴェルヴァーゲン街道の途中で合流できるかと。」

ヘルツ 「だが、それではステラの防衛が成り立たないぞ。
 ステラ港はどうするつもりだ?
 まさか他国防衛のために放棄するつもりではないだろうな?」

サード 「うっ…………。」

コペルニクス 「――ステラ港には、俺が行こう。」

サード 「コペルニクス騎士団長!」

コペルニクス 「現在、森林都市ミッテンヴァルトには
 4月と2月の騎士団が駐留している。
 俺の2月騎士団がステラ港に向かえば両市の防衛が可能だ。」

ミリオン 「よし、ではステラの防衛は2月騎士団に任せる。
 と――そうだったな。サード=ノーベル副騎士団長。
 お前の父親から、騎士団長譲位願を預かっている。」

サード 「!」

コペルニクス 「!!」

ミリオン 「息子が自らの意志で立ち上がったときに、これを受理してくれとな。
 ……そして時は来た。
 サード=ノーベル。汝を父親に代わり7月騎士団長に命ずる。」

サード 「!!!
 はっ!有り難き幸せ。
 仰せのままに!」

ミリオン 「では、行くがいい! バレンタインを防衛せよ!」

サード 「はい!」




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