『僕は、負けない』
「待てっ、サードっ!」
「コペルニクス騎士団長!」
「これを、持って行け。」
「え? これは……?」
「俺愛用のスコップだ。
お守り代わりに持っていってくれないか。
何かの役に立つなら、遠慮なく使ってくれ。」
「あ、ありがとう……。」
「本当なら俺もバレンタインに行きたいんだが――すまん。」
「うん、いいよ。
僕一人のために、他の騎士団長達を敵に回さなくていいさ。
ステラの防衛に回ってくれるだけで、僕には充分だ。」
「安心しろ。
サードがいない間に悪口を言う奴がいたら、
月のない夜そいつの頭上に、親父の植木鉢を落としといてやる。」
「いや……それは犯罪だし、
だいいちそんなことしたら
君のお父さんが怒るんじゃないかな……?」
「あんなにたくさんある植木鉢のコレクションの
ひとつやふたつなくなったところで、
親父にはどうせ分かりはしないさ。」
「――ありがとう。その気持ちだけ受け取っておくよ。」
「がんばれよ。」
「うん、大丈夫。僕は負けない。
もう二度と、悲しい想いをしないために――。
でも負けない。」
「ブランドブレイ7月騎士団――出陣します!!!」