『鐘の音を合図に』
「予想外に早く人質が手に入ったな。」
「ああ。これで我らが望みはより確実なものとなったわけだ。」
「なにを企んでいるんですの?」
「安心しろ、殺しやしない。そう命令されている。
ついでに王城に隠匿された過去の遺産を手に入れたい、それだけだ。
お前があれほどにこだわっているこの箱も、あとでちゃんと返してやる。」
「12時の鐘か……」
「つぁっ!」
「!?」
「はっ!!!」
「うぉああっ!?」
「な、何奴っ!?」
「王立軍第2師団、3番隊隊長、ボイス=ハーシェル!」
「同じく第2師団、2番隊隊長、レオン=セルシウス!」
「イーディス=ベークランド監禁容疑で強制連行する!
抵抗しても無駄だっ!
既に周囲は包囲してあるっ!」
「!!!ハーシェルさんっ!セルシウスさんもっ!?」
「お、おい、動くとこいつがどうなるか……」
「!?
うあああああっ!?
腕にナイフがっ!?」
「ボイス、今だっ!」
「つぁぁぁぁぁぁああああっ!」
「!!!」
「ぐぉぉっ!?」
「警告する。武器を捨て両手を挙げよ!!!」
「…………8人か。ほぼ予想通りだな。」
「いきなり攻撃だとっ!?法律違反だっ!」
「ああ。そうさ。だが、それがどうした?」
「法律が全てではない。時として例外はあり得る。」
「超法規的措置ってやつか……ちぃっ!!!」
「俺達はここで潰えるわけにはいかぬっ!崇高なる目的のためにっ!!!」
「目的だと?」
「あ、ああ。そうだ。こっちには人質がいることを忘れるなよ?
順番は狂ったが……取引だ。
王城3階の隠し部屋の中にある全てのものを渡せ。」