『鐘の音を合図に』
(王城3階隠し部屋?
…………
おい、レオン、何か知っているか?)
(知るわけないだろう。
俺だって初耳だ。
だが知っているふりをした方がここは賢明そうだな。)
「引き渡しさえすれば、こいつの命は保証してやる。」
「……手に入れてどうするつもりだ?」
「言わずと知れたこと。魔導の根元を追求する。ただそれだけだ。」
「もしそれがお前らの望むものでなかったとすれば?」
「は!笑止!」
「その様なことがあるわけない。
素直に渡して貰おうか。
ウィリアム=アシストの遺産を。」
「……一つ、質問をしていいか?」
「なんだ。」
「お前達が人質にしているその女性、誰だか知ってて言っているのか?」
「……貴様らの同僚だろう。それがどうした?」
「彼女の、特技を知らないのか?」
「…………。」
「特技?」
「たかが隊長レベルの兵士に何が出来るというのだ?」
「その驚異的潜在理力により、
軽度の魔導なら大半の詠唱を省略して発動させることが出来るという
歴史上まれにみる才能の持ち主だってことさ。」
「!?なにっ!?」
「まばゆい光よっ!!! フラッシュ!」
「ぐぉあっ!?目がっ!?」
「ボイスっ!今だっ!」
「ぬおぉぉぉぉっ!!!」
「ぐああぁぁぁっ!?」
「ふんっ!!!!」
「き、きさまぁぁぁぁぁあっ!?」
「大丈夫か、ベークランドっ!?」
「あ、はい。だ、大丈夫ですっ!……その、ありがとうございますっ。」
「馬鹿なぁぁっ!詠唱なしだとっ!?いったいどうやってっ!?」
「ちくしょうっ!
……ハレル・ユ・リエクト
炎よ螺旋の軌跡を……」
「甘いな。」
「うあぁぁぁぁっ!?肩にナイフがっ!?」
「その魔導は手が上がらなければ発動できまい。」
「俺達を敵に回して勝てると思うなよ……!!!」
「それに外に逃げようとしても無駄だ。
さっきも警告したとおり、俺達の部下が周囲を固めている。
もはや逃げ場はない。あきらめろ。」
「……万事休すか……ちっくしょおおおっ!!!
エル・ウィイ・ユメレクト
大いなる火炎の嵐よ 我が周囲を灰燼に帰せ……」
「!?」
「馬鹿っ!やめろっ!!!
ここで、屋内でその魔導を使うとどうなるか分かっているのかっ!?
お前達も巻き込まれるぞっ!?……ダメだ、聞いていないっ!!!」
「……おい、逃げるぞっ!」
「あっ、箱っ!……よかった。無事みたい。」
「ベークランド、なにをやっているっ!
早く来いっ!!!
いいか、しっかりつかまってろよっ!!!手を離すなっ!!!」
「はいっ!!!」
「ファイアストームっ!!!」