Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『鐘の音を響かせ』



イーディス 「戸籍って、なんかたくさん記載項目があるのね。
 経歴みたいなものも色々と書いてありますわ。
 ……7歳の頃までおねしょしていたとか。」

ボイス 「待て、そんなことは書いていないだろう。」

イーディス 「もちろんです。でも動揺したってことは心当たりあるんですね。」

ボイス 「そ、そんなことはどうでもいいだろっ!」

イーディス 「……くすっ。」

ボイス 「なにがおかしい?」

イーディス 「いえ、そういう所も可愛い人だなぁと思いまして。」

ボイス 「かっ、かわい――――い!?」

レオン 「あー、お二人さん。まだ俺がいること忘れてないか?」

ボイス 「レ、レオンっ!」

レオン 「……やっぱり自分たちの世界に入ってやがったな。
 気づかないでラブコメやってるのはともかく、
 結局なんだかんだで見てるんじゃねぇか。」

ボイス 「い、いや、それは……!」

レオン 「まあ俺にも見せて見ろよ。
 どれどれ……えっと、
 ボイス、7歳までおねしょ。」

ボイス 「だからそんなこと書いてねぇだろっ!!」

レオン 「ムキになるなよ、ボイス。
 それで、えーと――シルバニア王立第一初等学校へ入学するも、
 半年後にブランドブレイへ移住。」

ボイス 「……え?」

イーディス 「あら、ハーシェルさんブランドブレイにいらしたの?」

ボイス 「いや、そんなことは……。」

レオン 「戸籍がそこで途切れてるな。
 あとはブランドブレイに行かないと――ん?
 数行空白が続いた後に、また何か書いてあるぞ。」

ボイス 「え?」

レオン 「待てよ、なんか変だと思ったら、
 それから9年後にまた王立第一初等学校へ
 入学したことになってるぞ。」

ボイス 「!?」

イーディス 「ハーシェルさん、どうして二回も初等学校行ってるんです?」

レオン 「そうか、わかった。そんなに頭悪かったのか?」

ボイス 「ちっ、違う!俺は二度も初等学校に通ってなどいない!」

レオン 「わかってるって、冗談の通じない奴だな。
 ムキになるなよ。
 ――それで現在、第一師団所属。」

イーディス 「そこだけはあってるみたいですね。」

ボイス 「俺はブランドブレイになんか行っていないし、
 俺は義務教育の初等学校8年間全てをシルバニアで受けた。
 そのあとすぐに王立軍へ入隊したはずだ。」

レオン 「そういやそうだよな、そこで俺と出会ったんだもんな。」

イーディス 「戸籍と現実が異なっているっていうの?」

ボイス 「……どういうことだ?」

レオン 「……なんか話が妙だな。
 わかった、ちょっと待っててくれ。
 余計なお世話ついでに、諜報部行って調べて来る。」

ボイス 「ああ。頼む、レオン。」
(なんだ……?この胸騒ぎは。
 俺の戸籍は、なんでこんなことになってるんだ?)


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