Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『鐘の音を響かせ』



数時間後、
王立法務局――。

ボイス 「どうだ、何か手がかりは見つかったか?」

イーディス 「いえ、まだそれらしきものは……。ハーシェルさんは?」

ボイス 「こっちもさっぱりだ。」

イーディス 「それにしても、戸籍謄本って量が膨大なんですね。
 何百年前の祖先のことまで、全部記録が残っているなんて
 初めて知りました。」


たったったっ

レオン 「ボイス!」

ボイス 「レオン。」

イーディス 「そちらはなにかわかりました?」

レオン 「ああ。諜報部経由でお前の経歴調べてきたぞ。」

ボイス 「……身内に調べられるのはあまりいい気分じゃないな。」

レオン 「まあ仕方ないさ。もっとその前の手掛かりもでてきたぞ。
 どうやらお前、7歳でシュレディンガー家に
 養子として弟子入りしている事になってるな。」

イーディス 「シュレディンガー家?」

レオン 「なんだ、知らないのか。
 ブランドブレイ王国の名門、
 ラファエル時代から伝わる剣術の大家だ。」

ボイス 「!……シュレディンガー流剣術のことか?」

レオン 「ああ。お前も同じ流派なんだろ?」

ボイス 「そうだ。」

レオン 「もっとも――戸籍上はその総本山で修行したことになってるけどな。」

イーディス 「どうしてそんなことに……?」

レオン 「そこまでは分からない。
 ただその6年後、13歳にして師範代の地位にまで
 上り詰めている。」

イーディス 「ハーシェルさん、そんな天賦の才があったんですの?」

ボイス 「い、いや、そんなはずは……。」

レオン 「更に、だ。
 お前が師範代の地位についたことになっているその同じ年、
 もっと奇妙な事が起きているぞ。」

ボイス 「え?」

レオン 「師範代につくや否や、そこの当主が自分の邸宅で変死している。
 その件で養子縁組は取り消され、一旦シルバニアへ
 戻ってきたと記録されている――が。」

ボイス 「その先は?」

レオン 「わからん。
 それ以上の記録は途絶えてる。
 恐らく、そのときに何かが起こったのだろう。」

ボイス 「何かが……。」

イーディス 「!」

レオン 「どうした、イーディス?」

イーディス 「ねぇ、これみて。」


どさっ

ボイス 「どれだ?」


ぱらっ

ボイス 「ん?なんだこれ?容疑者引き渡し依頼書?」

イーディス 「…………。」

レオン 「…………ボイス。」

ボイス 「なんだ?」

レオン 「非常に言いにくいが、あっさり言おう。
 お前に対して、エルメキアから指名手配が出ている。
 賞金は4万リル、生死不問。」

ボイス 「俺がっ!?エルメキアから!?」


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