Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『鐘の音を響かせ』



レオン 「聞いて驚くな。いや、やっぱり驚け。
 エルメキアではお前のことが大変な扱いになってるようだ。
 殺人罪で指名手配犯扱いになってるぞ。」

ボイス 「殺人罪で指名手配っ!?俺がっ!?」

レオン 「実戦の経験は?」

ボイス 「ベークランドを助けたときが初めてだ。
 それにあの時は、
 無我夢中だったからな。」

イーディス 「……そうなんですの?」

ボイス 「ど、どうでもいいだろそんなことっ!」

レオン 「照れるなよ、ボイス。」

ボイス 「べ、別に俺は照れてなんか……」

レオン 「嘘の下手な奴は放っておいて、読み上げるぞ。
 592年3月18日、エルメキアにて大量殺人罪で逮捕。
 翌日、脱走。現在行方不明。」

ボイス 「……去年の3月18日?
 俺はその日、このシルバニアにいた。
 この街から一歩たりとも出てはいない。」

レオン 「ああ。
 俺達が二人で原始魔導協会を鎮圧して
 朝まで徹夜で始末書書いてたあの日だろ?」

イーディス 「私もちゃんと覚えているわ。その日で間違いないはずよ。」

ボイス 「俺がその日に、エルメキアに捕らわれている?
 いったいどういうことなんだ。
 もう一人の、俺がいる?」

イーディス 「……ドッペルゲンガー。
 心理学の言葉で、心理投影した自分をみてしまうこと。
 魔導学の言葉では、理力体の抜け落ちた肉体組織、あるいはその逆。」

レオン 「けど、確か魔導学の定義では……」

イーディス 「ええ。理力体を失った肉体は呼吸は出来ても、
 自我や意識を保つことは出来ない。
 ボイスさん、私の目の前にいる貴方のようには。」

ボイス 「だが俺はここにいる。
 もう一人の俺なんか見たとはない。
 ……けど、俺がもう一人いるのかっ!?」

レオン 「ボイス、確かお前の父親は王立軍の人間だったよな。」

ボイス 「何がいいたい、レオン?」

レオン 「いや、
 もしかするとお前の父親が、
 何か知っているんじゃないのか?」

ボイス 「親父が……?」


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