『鐘の音を響かせ』
「あ、ハーシェルさん!
どうでした?
何か分かりましたか?」
「…………俺は、
ハーシェル家の名誉のために、
すり替えられて……。」
「すり替え?」
「……俺は、ボイスじゃない。」
「え?」
「俺は、誰なんだ……?」
「どうしたんです?」
「ボイスじゃなくて、ラウド……。
戸籍上は既に死んだはずの人間――。
それが、本当の俺なのか?」
「! ラウ…ド?」
「………………。」
「貴方が誰であろうとも、一つだけ確かな事があります。」
「?」
「例え貴方が誰であっても――
私の目の前にいる貴方は、
私の、愛する人だということです。」
「!?」
「これでは、いけませんか?」
「…………。」
「…………。」
「…………。」
「……愛してます。」
「…………。」
「…………。」
「…………ありがとう。俺もだ。」
「……もっと、理由が必要ですか?」
「いや、充分だ。
……イーディス、
ありがとう。」
「お礼なら、貴方を産んでくださったご両親に言ってください。
私の愛する人がそこにいるのは、
貴方の母上様と父上様のお陰なのですから。」
「お前は――優しいんだな。」
「? あたりまえのことですよ?」
「……そうだな、ありがとう。」