Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『鐘の音を響かせ』



ボイス 「!?
 ……何を寝言を。
 親父から全てを聞いたんだろう?」

ボイス 「ボイスは、お・れ・だ。」

ボイス 「そうか――だが、俺もボイスだ。
 その肉厚の大きな剣一本でどうするつもりだ?
 果たしてお前に、その剣が抜けるのか?」

ボイス 「…………抜くために、剣はある。」


すっ

ボイス 「…………。」

ボイス 「どうやら本気みたいだな。
 いいだろう。なにばこっちも本気で応えないとな。
 お前をこの剣の餌食にしてくれる。」

ボイス (なんだ、あの見慣れない鞘の色と形は――?)

ボイス 「見るがいい、この色なき剣の御姿を。」


すっ

ボイス 「なっ!!」

ボイス 「――驚いたか?」

ボイス 「透明な、刀身!?」

ボイス 「こいつの名前はな、
 『ライト・レインエッジ(Right Lein-Edge)』。
 かの銀狼帝が愛用したという『右』の剣だ。」

ボイス 「!!!」

ボイス 「カイザリア初代皇帝、銀狼レイン。
 彼の死後、行方不明になっていた左右2本の剣。
 そのうちの右のひと振りが、ここにある。」

ボイス 「……なんで、そんなものがここにある!?」

ボイス 「150年ほど前、当時のシュレディンガー家の当主が、
 どこか人には言えないルートで手に入れてきたらしい。
 それから代々伝わる家宝になってたみたいだがな。」

ボイス 「まさか……その当主を殺して、この剣を!?」

ボイス 「……そこまで知っているのか。
 ならば尚更のこと生かしてはおけんな。
 親父と同じくこの絨毯の上で死を迎えるがいい。」

ボイス 「!」

ボイス 「丁度いいことに、いまこの屋敷には誰もいない。
 あの口やかましいグロリア嬢も旅行で留守だ。
 つまり――目撃者は誰もいない。」

ボイス 「……その令嬢が、
 自分の父親を殺したのがお前だと知ったなら、
 悲しむだろうな。」

ボイス 「なに、こうするさ。
 シュレディンガーの当主を殺したのは偽物のボイスで、
 俺はそいつを倒して仇を討ちましたってな。」

ボイス 「!!!」

ボイス 「ボイス=ハーシェルは、
 二人もいらない。
 つぁああああああっ!!!」


ギンっっっっっ!!!


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