『鐘の音を響かせ』
「くっ!」
「いいぞ、流石は『銀狼の右剣』だ!」
「うおおおっ!」
「甘いっ!!!」
(くっ、なんだ!? この威圧感は!?)
「くくくっ、この剣は使い手の腕を極限まで高めてくれる!」
「どうした、反撃しないのか?」
(くっ………。)
「やはり所詮は偽物ということ……」
(今だ!踏み込んで、一撃を――!)
サザントワイライト
「剣技・南方薄明!」
「!? 跳んだ!?」
「横一文字に凪ぐ『南方薄明』か。
日没直後の地平の如く、残像だけが素人目には映る。
しかし、俺の目で捉えるには充分な遅さだ。」
「!!!」
「だがその技は両腕を伸ばしきるため、
隙も大きい。このようにな!
はぁあああっ!!!」
「!!!」
「ちっ、かすっただけか。」
「――俺と、同じ技を!」
「当たり前だ。
俺の方が本流で会得しているのだから、
お前のそれより技の切れは上だ。つぁっ!」
「ぐっ! 早いっ!」
「お前より9年近く余計に生きているのは
伊達じゃないんだ。
そして、若くして師範代の地位を得たのもな!」