「お前達二人は、姉妹でパーティーに参加していたのか？」

「ええ、そうですけど……それが何か？」

「おとなしく白状するんだ。犯人はお前達だな？」

「ボクなにもしてないよー。」

「妹の方……サフランと言ったな。
　先日、目撃者から通報があってな、
　お前には未成年飲酒の容疑がかかっている。」

「ええっ！？
　あれはアンジェがグレープジュースだって……
　ちょっとアルコール入ってたみたいだけど。」

「アルコールの入ったグレープジュースか、それなら問題ないな。」

「……どういう基準なのよ？」

「カレーライスとライスカレーの違いだ。前者は無罪で後者は有罪。」

「ねぇ、それってどう違うの？」

「……さて、次の容疑は姉の方だ。」

「気になるからボクに違いを教えてよーっ。」

「姉には勤務時間超過の容疑がかかっている。」

「勤務時間超過？」

「この国ではちゃんと有給を使わないとそれもまた罪になるのだ。」

「……使わせてくれないのはどこの誰かわかってます？」

「そういうことは基本的に上層部の責任だろうな。
　世の中にはひどいやつもいるもんだな。
　ま、少なくとも俺は違うけど。」

「……しくしくしく。」

「というわけで、バームクーヘン最後のひとかけらを盗んだのはお前らだな？」

「ええっ！？
　なんでそうなるのさっ！
　ボクそんなことしないよぉっ！」

「だってもうお前らしか容疑者残ってねぇもん。」

「ボク違うのにぃぃぃっ。」

「しくしくしく。なんで私がいつもこんな目に。」