Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『失われた7枚』 〜大江戸if 悪代官編〜




その日の晩。

越前屋


越前屋アシスト 「……で、本来は。」

エリーゼ 「本来は?」

越前屋アシスト 「ここで女性の着物の帯でも持って
 『あーれーご無体なー』と
 やらなければならないわけなのだ。」

エリーゼ 「それは悪代官でしょ?]

越前屋アシスト 「いや、辞書には商人の役目だと書いてある。」

エリーゼ 「辞書?一体どこの辞書によ?」

越前屋アシスト 「もちろん俺の辞書にきまってるだろうが。はっはっは。」

エリーゼ 「………………。」

越前屋アシスト 「というわけでエリーゼ。」

エリーゼ 「な、なによその手は?」

越前屋アシスト 「…………。」

エリーゼ 「ち、ちょっと、私が手に持っている物がなにかわかってる?」

越前屋アシスト 「日本刀? なんでそんなもの持ってるんだ?」

エリーゼ 「馬鹿な真似したら斬るわよ?覚悟しておいてね。」

越前屋アシスト 「……俺は馬鹿なまねなんかしているつもりはない。」

エリーゼ 「え?」

越前屋アシスト 「真剣に、お前のことだけを考えているにすぎないんだ。」

エリーゼ 「そ……そんな真摯な瞳で言われたら……どうしていいか……」

越前屋アシスト 「というわけで、帯ひっぱっていいか?」

エリーゼ 「斬りぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」



ざしゅっっっ


越前屋アシスト 「ぐはぁっ、痛ぇぇぇぇぇ……」

エリーゼ 「峰打ちよ、安心して。」

越前屋アシスト 「……いてててて……起きあがるから手を貸してくれ。」

エリーゼ 「んもぅ。はい。
 ……って、ちょっと、ロウクス君?
 なにどさくさに紛れて人の着物の帯に手をかけているのよ?」

越前屋アシスト 「いや、引っ張ろうかと。」

エリーゼ 「もう一回斬られたいの?」

越前屋アシスト 「……エリーゼ……。」

エリーゼ 「だから……そんな甘い口調で口説き落とそうとしたって……」

越前屋アシスト 「本当は、イヤじゃないくせに……」

エリーゼ 「そ、そんな……だめ……抵抗……できな……い……」

越前屋アシスト 「というわけで、引っ張るぞ?」

エリーゼ 「き、斬りぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」



ざしゅっっっ


越前屋アシスト 「ぐはぁぁぁっ!」

エリーゼ 「んもう。いっつも強引なんだから……」

越前屋アシスト 「よし、わかった。」

エリーゼ 「本当にわかったの?」

越前屋アシスト 「帯を引っ張るのはあきらめて、帯を緩めて床に落とすことに……」

エリーゼ 「斬りっ! 斬りぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」



ざしゅっ ざしゅっ!


越前屋アシスト 「はぅっ。ぱたり」

エリーゼ 「んもぅっ。」



だだだだだっ


グラン 「御用御用!」



ばたんっ!


ベル 「越前屋アシスト!
 将軍様のみるくくっきーを盗んだ罰で……ってあれ?
 なんか勝手に倒れてるんだけど?」

グラン 「左様か左様か。これにて一件落着。」



いえ、それは話が違います。


エリーゼ 「で、どうかしたの?」

ベル 「いや、将軍様のみるくくっきーをこいつが持っていったって聞いて……」

エリーゼ 「そうねぇ……きっとアーク代官様のところに持っていったんじゃないかしら?」

グラン 「左様か左様か。ではこれにて失礼。」

ベル 「……なんか……労せずして在処がわかったっていうか……。」

グラン 「ところでアシスト殿はなにゆえ倒れているのでござるか?」

越前屋アシスト 「いや、エリーゼの帯を……」

エリーゼ 「斬りっ! 斬りっ! 斬りぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」



……自業自得ですね。



▽一方、その頃。





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