『失われた7枚』 〜大江戸if 悪代官編〜
「レナード様……来てくれたのですね」
「あ、ああ。むろん君のためならば私はどこにでも。」
(どこにでも?
例え火の中でも?水の中でも?土の中……土の中!?
だ、だめっ!レナード様、死んではだめぇぇぇぇっ!!!)
「……アリスさん?」
(そんなっ!
あなたに先立たれたら私はどうすればいいのっ!?
残された私と、そして娘達はどうなるの?)
(言ったじゃないっ!
私の愛に溺れ死んではダメって!
ずっと溺れ続けてくれなきゃダメって言ったじゃない!)
(イリスはまだいいわ、あの子はもう11歳ですもの。
でも、エリスとセリスはどうなるの?
二人ともまだ小さいのよっ!?)
「……アリスさん?先ほどからうつむいて、どうしたのです?」
(そう、食後に『パパー、ママー』って娘達が慕ってくれるの。
私、とても幸せ。
確かに、昔は男の子と女の子が一人ずつ欲しいって思っていたけれど、ね。)
「涙……?
アリスさん、一体何がっ!?
何があったんですかっ!?」
(こんな幸せなのに……。
どうして、どうして貴方は死んでしまったのっ!?
ううん、でも負けてはダメっ! 負けるもんですかっ!)
「アリスさんっ!?」
「!
…………。
……レ、レナード様?」
「突然どうしたんです?涙を流したりして?」
「いえ……貴方が、こうして生きていてくれることがとても嬉しいんです。」
「アリスさん……。」