Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『失われた7枚』 〜大江戸if 悪代官編〜




一方その頃。


アリス 「レナード様……来てくれたのですね」

レナード 「あ、ああ。むろん君のためならば私はどこにでも。」

アリス (どこにでも?
 例え火の中でも?水の中でも?土の中……土の中!?
 だ、だめっ!レナード様、死んではだめぇぇぇぇっ!!!)

レナード 「……アリスさん?」

アリス (そんなっ!
 あなたに先立たれたら私はどうすればいいのっ!?
 残された私と、そして娘達はどうなるの?)



いえ、それ以前にまだ子供一人も生んでいないと思うんですが。
というかそもそも、まだ結婚すらしていないんじゃ……?


アリス (言ったじゃないっ!
 私の愛に溺れ死んではダメって!
 ずっと溺れ続けてくれなきゃダメって言ったじゃない!)



あのー、人の話聞いてます?


アリス (イリスはまだいいわ、あの子はもう11歳ですもの。
 でも、エリスとセリスはどうなるの?
 二人ともまだ小さいのよっ!?)



……もう子供の名前まで決まっているんですか?


レナード 「……アリスさん?先ほどからうつむいて、どうしたのです?」

アリス (そう、食後に『パパー、ママー』って娘達が慕ってくれるの。
 私、とても幸せ。
 確かに、昔は男の子と女の子が一人ずつ欲しいって思っていたけれど、ね。)



あのー、そんな昔の伏線、誰も覚えていないと思うんですが……。


レナード 「涙……?
 アリスさん、一体何がっ!?
 何があったんですかっ!?」

アリス (こんな幸せなのに……。
 どうして、どうして貴方は死んでしまったのっ!?
 ううん、でも負けてはダメっ! 負けるもんですかっ!)



だから死んでませんってば。


レナード 「アリスさんっ!?」

アリス 「!
 …………。
 ……レ、レナード様?」

レナード 「突然どうしたんです?涙を流したりして?」

アリス 「いえ……貴方が、こうして生きていてくれることがとても嬉しいんです。」

レナード 「アリスさん……。」



…………もう、勝手にやっててください。





▽そして、夜更け。





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