Forbidden Palace Library #00 「失われた7枚」シリーズ 外伝

『失われた7枚』 〜大江戸if 悪代官編〜




数時間後。


ベル 「だぁぁぁぁっ!
 どこだぁっっっっ!!!
 どこに隠れているんだぁぁぁっ!?」

グラン 「左様左様。」

ベル 「出てこい、アーク代官っっっっっ!!!」



がたんっ


アーク 「呼んだ?」

ベル 「いるならとっとと出てこんかぁぁぁぁぁぁっ!」

アーク 「うん、呼ばれなかったし。」

ベル 「そうじゃなくてさ……って、おい、どこから顔だしているんだよ?」

アーク 「うん、天井裏。」

ベル 「いや、だからどうしてそんなところにいるんだ?」

アーク 「さぁ、それが僕にもさっぱり。
 道に迷っちゃって、気がついたらここにいたんだ。
 おかしいなぁ、東屋に行こうとしただけなのになぁ。」

ベル 「……なんか調子狂うなぁ。
 と、とりあえずだ。
 アーク代官っ!将軍様のみるくくっきーを返してもらおうっ!」

アーク 「え?みるくくっきー?なんのこと?」

ベル 「あくまでとぼけるというのか?
 山吹色の南蛮菓子、
 見覚えないとは言わせぬぞっ!」

アーク 「ああ、あれ『みるくくっきー』って言うんだ。」

ベル 「……ほへ?し、知らなかったのか?」

アーク 「うん。越前屋アシストは南蛮菓子として教えてくれなかったし。」



……そういえば確かに「ミルククッキー」とは言ってませんでしたね。


ベル 「だぁぁぁぁっ!!!
 訳のわかんねぇ伏線張るな木枯吹雪ぃぃぃぃぃぃっ!!!
 ぜーはーぜーはー。」

アーク 「うん、ところでそのみるくくっきーがどうしたんだい?」

グラン 「左様左様。至急返していただきたいのでござる。」

アーク 「あ、でも一つ食べちゃったよ?」

ベル 「わ、わかった。それでもいいからとりあえず残りを返してくれ。」

アーク 「うん。わかった。」

ベル 「ほっ。やっとこれで無事に帰れるな。」

グラン 「して、みるくくっきーはどこに?」

アーク 「えっと……あれ? ない。」

ベル 「……なに?」

アーク 「さっき東屋に持っていこうとして……うん、どこで落としたんだろう?」

ベル 「な、なぁ、念のために聞くが、落とした場所の心当たりは?」

アーク 「寝室のふすまを開けて、茶室の掛け軸の裏に入って、そこから一度縁の下に出て、
 獅子脅しの前で見つけた猫を追いかけてそこから松の木伝いに屋根に登って、
 それで母屋に行ってから畳の裏に入って……うん、たぶんこの屋敷のどこか。」

ベル 「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
 ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!
 ひょっとして屋敷中全部探すのかぁぁぁぁっ!?」

グラン 「左様か左様か。」

アーク 「うん、困っちゃったね。」

ベル 「人ごとみたいに言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」





…………。


▽そして、翌日。





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