『失われた7枚』 〜大江戸if 悪代官編〜
「だぁぁぁぁっ!
どこだぁっっっっ!!!
どこに隠れているんだぁぁぁっ!?」
「左様左様。」
「出てこい、アーク代官っっっっっ!!!」
「呼んだ?」
「いるならとっとと出てこんかぁぁぁぁぁぁっ!」
「うん、呼ばれなかったし。」
「そうじゃなくてさ……って、おい、どこから顔だしているんだよ?」
「うん、天井裏。」
「いや、だからどうしてそんなところにいるんだ?」
「さぁ、それが僕にもさっぱり。
道に迷っちゃって、気がついたらここにいたんだ。
おかしいなぁ、東屋に行こうとしただけなのになぁ。」
「……なんか調子狂うなぁ。
と、とりあえずだ。
アーク代官っ!将軍様のみるくくっきーを返してもらおうっ!」
「え?みるくくっきー?なんのこと?」
「あくまでとぼけるというのか?
山吹色の南蛮菓子、
見覚えないとは言わせぬぞっ!」
「ああ、あれ『みるくくっきー』って言うんだ。」
「……ほへ?し、知らなかったのか?」
「うん。越前屋アシストは南蛮菓子として教えてくれなかったし。」
「だぁぁぁぁっ!!!
訳のわかんねぇ伏線張るな木枯吹雪ぃぃぃぃぃぃっ!!!
ぜーはーぜーはー。」
「うん、ところでそのみるくくっきーがどうしたんだい?」
「左様左様。至急返していただきたいのでござる。」
「あ、でも一つ食べちゃったよ?」
「わ、わかった。それでもいいからとりあえず残りを返してくれ。」
「うん。わかった。」
「ほっ。やっとこれで無事に帰れるな。」
「して、みるくくっきーはどこに?」
「えっと……あれ? ない。」
「……なに?」
「さっき東屋に持っていこうとして……うん、どこで落としたんだろう?」
「な、なぁ、念のために聞くが、落とした場所の心当たりは?」
「寝室のふすまを開けて、茶室の掛け軸の裏に入って、そこから一度縁の下に出て、
獅子脅しの前で見つけた猫を追いかけてそこから松の木伝いに屋根に登って、
それで母屋に行ってから畳の裏に入って……うん、たぶんこの屋敷のどこか。」
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!
ひょっとして屋敷中全部探すのかぁぁぁぁっ!?」
「左様か左様か。」
「うん、困っちゃったね。」
「人ごとみたいに言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」